命の大切さ学ぶ教育が“命を弄ぶ”結果にならないために…学校での動物飼育、さまざまな形を模索
コンクリートの床で飼育され、足裏の毛が無くなり、血に染まっているうさぎ。体は糞便まみれ、栄養状態は悪く痩せ細り、下半身不随のまま治療を受けられない個体も…。これらは、以前「多頭飼育崩壊、小学校のうさぎ小屋の現状」として詳報した小学校で飼育されるうさぎが直面する、悲惨な現状の一部だ。(※関連リンク参照) この特集では、問題を認識しながらも予算不足から何もできず、放置してしまう学校側の事情も浮き彫りになった。一方で、動物飼育のあり方を見直し、新たな取り組みを始めている学校も存在する。「命の大切さを学ぶ」、その理念を実現するための模索が続いている。 【写真で見る】動物と触れ合う子供たち 命の大切さ、どう学ぶ
「動物の些細な変化にも気づき…」“命と触れる”体験
福岡県太宰府市にある太宰府西小学校。2年生の教室で飼育されているモルモットの「ゆきちゃん」は子供たちに大人気だ。「ゆきちゃんの大好物はモコモコなの」、「ゆきちゃんと一緒に暮らしたいな」子供たちの無邪気な声が聞こえる。モルモットの健康状態も良好なようだ。休み時間には飼育係が当番でゲージの掃除や餌の交換をする。 担任教師「ただかわいがるだけではなくて、例えば怪我していたり血がついたりといった、動物の些細な変化への気づきとか、視野の広がりにつながっていると感じます」 実は太宰府西小学校は、動物飼育に自力だけで取り組んでいるのではない。3年前、兵庫県の大手前大学が研究する新たな取り組みのモデル校となったことがきっかけで、動物飼育を始めた。
餌代などを国が負担~獣医師のバックアップも
学校での動物飼育には、飼育数にもよるが、餌代や備品代だけでも年間数十万円規模の費用が必要となる。これ以外に、けがや病気で治療を受けた際の医療費も必要だ。この取り組みでは、大学の研究の一環として飼育を行うため、国の補助金を利用することができ、学校側の負担はほぼゼロ。大学の研究としては、動物飼育によって子供たちがどのような体験を得ることができ、それによって情操教育上どのような効果を得ることができるかを検証する。