命の大切さ学ぶ教育が“命を弄ぶ”結果にならないために…学校での動物飼育、さまざまな形を模索
動物飼育の体験を家庭でも“ホームステイ”の取り組み
以前は週末や長期休みは連携する獣医師にモルモットを預けていたが、今年10月から週末限定でモルモットのホームステイを開始した。今では抽選になるほど希望する家庭が増えているという。学校側は、この取り組みで、動物飼育による効果に広がりが出ると考えている。 太宰府西小学校江口壽信校長「命を学ぶこと、小動物を愛する気持ちを学ぶことというのは保護者の方にも体験していただきたい。このような取り組みを可能であれば続けていきたい」
課題は予算の確保、補助金終了後は…
いいことずくめのように見える取り組みだが、それは国の補助金が見込めるからであり、1年ごとの申請で、もし認可されなければ、途端に学校での飼育は立ちゆかなくなる。研究を実施している大手前大学の中島由佳教授も、予算の確保が課題だと指摘する。 大手前大学現代社会学部 中島由佳教授「この補助金が終わってしまったときにどうやって継続していけるのかということ。ひとつの小学校だけのために予算をもらうのは難しいと思うので、餌なら教材費に含めるですとか地域の獣医師会からなんらかの援助をしていただくとか、あとはホームスティで地域の方々の協力をいただくといった地域との連携も重要かなと思います」 また多くの自治体には学校での動物飼育への支援制度があり、獣医師への相談や、飼育小屋訪問の依頼については、この制度の予算を利用することができる。しかし、福岡県教育委員会によると動物を飼育している328校の小学校のうち、この制度を活用したのは12校にとどまる。(※福岡市と北九州市はデータに含まれていない)制度の周知も課題だ。
“学校での飼育ではない”選択肢も
一方、そもそも学校での動物飼育を選択せずに「命の大切さ」を学ぶカリキュラムを実施している自治体もある。福岡県みやま市の水上小学校は、隣の市にある八女農業高校での出張授業を実施している。11種類、700頭以上の動物を飼育する八女農業高校。子供たちは、牛に餌をあげたり、うさぎと触れ合ったりしながら、動物についての正しい知識も学ぶことができる。子供たちの中には、自然と動物への愛情が芽生えているようだ。 出張授業を受けた児童「もし犬とか猫が雨の日に捨てられていたらかわいそうだから病院に連れていってあげたいと思う」 「いろんな動物と触れあって、動物の命も人間の命も大事だなと思い ました」