神保町で再発見・(元)鶴谷洋服店で見つける、時代超えた「モノ」の新しさ
「伯父夫婦が生前、生地を大切にするのを見ていたこともあり、遺された生地は有効に使おうと思い、小物を作り始めました。紳士服の生地に触れるのは初めてでしたが、中には昭和30年代に仕入れたものもあり、触れているうちにその質の良さもわかってきました。ただ見た目が地味なものが多いので、どうすれば楽しんでいただけるか、いつも模索しています」
文化屋雑貨店、編み物☆堀ノ内 イラストレーター・吉岡里奈が織りなすクリエイティブ
(元)鶴谷洋服店には、文化屋雑貨店のグッズが置いてある。 特に文化屋雑貨店の人気アイテム・ひょう柄の陶器は記憶に残っている人も多いだろう。 文化屋雑貨店で青春時代を過ごした人ならば、店名の響きに懐かしさを覚えるだろうが、どのような経緯で文化屋雑貨店のグッズを置くことになったのだろうか。 「2016年に神田のギャラリー・TETOKA(手と花)で文化屋雑貨店のイベントが開催されるとき、広告に当店を掲載して良いか、という電話がありました。 その時に文化屋雑貨店の創業者・長谷川義太郎さんとの面識を得たのがきっかけです。その後もオリジナル商品を納品してくれるようになり、今に至ります。もちろん渋谷時代の文化屋雑貨店も存じ上げています」
当然だが、(元)鶴谷洋服店は文化屋雑貨店ではない。しかし、不思議なことに、非常にお互いがマッチしている空気感が漂う。「似ている」という言葉では言い表せない、独特のマッチした空気感だ。長谷川義太郎氏も、以前から(元)鶴谷洋服店によく訪れていたというだけのことはある。この独特の空気感は、(元)鶴谷洋服店と文化屋雑貨店を訪れた者にしか分からない。
「長谷川さんとは、イベント後からずっと交流があるのですが、一度、長谷川さんの計らいで文化屋雑貨店の看板をお借りしたら、コーナー表示には巨大過ぎたようで、みんなうちを文化屋雑貨店だと勘違いし始めてしまいまして(笑)。さすがに看板を外したら、勘違いも減りましたが、未だに誤解されることは多々ありますね」