〈終身雇用に年功序列!?〉世界的には、かなり特殊…いまなお大企業に根強く残る「日本的経営」の実情【経済評論家が解説】
企業別組合は現在も健在
日本は、労働組合が企業ごとに組織されています。終身雇用制なので企業が成長することが労働者の利益にもつながる、ということで、労働組合が無理な要求をして会社が傾いてしまうのを防ぐ仕組みになっている、ということなのでしょう。 企業別組合は現在も健在で、変化の兆しはあまり見られません。もっとも、非正規労働者が加入していない組合も多いですし、正社員でも組合に加入しない人も増えているようなので、昔よりも労働組合の存在感は大幅に薄れているようですが。
他企業や銀行との取引も、長期的視点を重視
終身雇用制、年功序列賃金制、企業別組合は、企業と労働者の関係を示すものですが、日本企業は取引先企業や取引銀行との間でも長期的安定的な取引をする場合が多くなっています。 毎回同じ部品メーカーから仕入れ、同じ銀行から借りるならば、お互いの事情がよくわかっているので「前回どおり」で打ち合わせが終わり、便利だというメリットはありますが、米国企業は「毎回入札をしていちばん安いところから仕入れたり借りたりするほうが得だ」という考え方が多いようです。 一長一短だということなのでしょうが、文化の違いという面も大きいようです。歴史的にずっと同じ村で同じ人々と商売をしていた日本人と、新大陸に渡ってきて一獲千金を夢見て全米を渡り歩いていた米国人とでは、おのずと取引のあり方も異なっていた、ということではないでしょうか。 今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。 筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。 塚崎 公義 経済評論家
塚崎 公義