山岳遭難が過去最多、“実力に見合わない山”での救助要請が頻発 「経験浅い中高年」の疲労や道迷い目立つ 長野
長野県警は、2024年の県内の山岳遭難者数が、過去最多だった前年を18人上回る350人に上ったと発表した。過去最多更新は2年連続。死者は前年比13人増の50人で、過去5年で最多だった。経験が浅い中高年の登山者が疲労や道迷いで救助要請する例が相次いだ。技量・装備不足などで行動不能になった「無事救出者」は過去最多の155人(44・3%)だった。 【グラフ】山岳遭難者のうち「無事救出者」の推移
知名度が高い山域で多発
年代別の遭難者数は50代が93人と最多。60代が75人、70代以上は81人で、60代以上で全体の44・6%を占めた。県警によると、高齢になってから登山を始め、実力に見合わない山に登った結果、救助を要請するケースが頻発した。山域別では北アルプスが178人と過半数を占めた。八ケ岳連峰が62人で続き、知名度が高い山域での遭難が年間を通じて多発した。
負傷者は前年比18人減の142人、行方不明者は前年と同じ3人だった。
バックカントリースキーも「非常に高いリスク」
24年の遭難件数は同19件増の321件。スキー場外を滑るバックカントリースキー中の遭難は同8件増の24件、豊作だったキノコの採取中の遭難は同17件増の26件だった。
一方、年末年始(2024年12月29日~25年1月3日)の遭難者数は前季比6人増の7人。30日には下高井郡野沢温泉村でバックカントリースキーをしていた男性が死亡しており、県警山岳安全対策課は「バックカントリースキーには非常に高いリスクがあることを前提に、装備品の携行など備えを徹底してほしい」としている。