奈良のシカの環境問題 保健所「組織内で十分な連携を」
国の天然記念物「奈良のシカ」の保護団体「奈良の鹿愛護会」に所属する丸子理恵獣医師が、足を骨折したシカへの有効な治療装具の使用や検査を幹部にストップさせられたとして、奈良市保健所に治療の実施などを同会に行政指導するよう求めた要望を受け、同保健所は25日、動物愛護管理法の対象外で、行政指導を行う権限がないと丸子氏に回答した。 丸子氏は今月11日に要望書を提出。同保健所の鈴村滋生所長は25日記者会見し、医療材料の選択や検査内容の意思決定についての定めが同法になく、保健所には奈良の鹿愛護会に行政指導を行う権限がないと説明した。また、自身が推奨する装具が使われないことが動物愛護管理法に抵触するという丸子氏の主張には「飛躍がある」とした。 このほか、同保健所が19日にシカの環境の是正策のため立ち入り検査をした際、組織内で十分な連携を図るよう指導したと明らかにした。 愛護会の山崎伸幸事務局長は、報道陣の取材に対し「保健所の回答は適正と思う。(丸子氏の要請を)全部をかなえることは難しいと考える」。丸子氏は「保健所の回答は本質を受け止めず、論点をずらしている」などと述べた。