石川九楊の個展「石川九楊大全」が上野の森美術館で2ヶ月連続開催へ
書家・石川九楊の全貌にせまる個展「石川九楊大全」が、東京・上野の上野の森美術館 で古典篇(前篇)・状況篇(後篇)にわけて2ヶ月連続で開催される。会期は6月8日~30日、7月3日~28日。 石川は1945年福井県出身。京都大学法学部を卒業し、京都精華大学教授、文字文明研究所所長を経て、現在は同大学名誉教授を務めている。「書は筆蝕の芸術である」ことを解き明かし、書の構造と歴史を読み解く。評論家としても活躍しており、日本語論・日本文化論は各界にも大きな影響を与えた。作品制作・執筆活動、いずれの分野でも最前線の表現と論考を継続。現在までに書作品2000点・著書100点以上を世に送り出してきた。 本展は、そんな石川の創作の全容を明らかにする展覧会だ。書表現により時代を反映した作品を書き続けてきた石川の創作活動を通じて、現在における「書く」行為とその先に見えてくるものを問う、大規模展覧会となっている。 前篇となる6月開催の「【古典篇】遠くまで行くんだ」では、「歎異抄」「源氏物語」「徒然草」中国の「李賀」の詩などの古典に取り組んだ作品や、「千字文」を盃1000枚に綴った「盃千字文」といった作品が並ぶ。後編となる7月開催の「【状況篇】言葉は雨のように降りそそいだ」では、現代作家や時事問題をとりあげた自作の詩文の言葉を書いた作品が展覧される。 また、2017年の「書だ!石川九楊展」(上野の森美術館)にも出展された、聖書を書いた85メートルの大作「エロイエロイラマサバクタ二又は死篇」も展示。前後篇いずれにおいても、未発表作品や新作作品の展示が予定されている。 ほかにも会期中には関連イベントとして講演会・コンサートが開催される。石川の書論のひとつ「書は音楽である」を実証するプロジェクトとして、自身の書作品をデータとして解析・楽曲化し現代音楽と弦楽四重奏として演奏するコンサート、三島由紀夫など作家の書を読み解いた近著「悪筆論」に関する講演会「書は文学である」も実施予定だ。詳細は公式ウェブサイトをチェックしてほしい。