中国・ロシアで新覇権争い「グレートゲーム」最前線の中央アジア 中国とカザフスタン国境の街を歩いた
■中国とヨーロッパを結ぶカザフスタンは「一帯一路」の要衝 なぜこの場所に経済特区ができたのか?それは、中国にとってカザフスタンはヨーロッパにつながる要衝であり、中国が推し進める巨大経済圏構想「一帯一路」の中核と位置づけられている「中欧班列」の重要拠点だからだ。 「中欧班列」とは中国とヨーロッパ25か国を結ぶ鉄道のこと。特にここホルゴスは「中欧班列」の3つのルートのうち最大の運行数を誇る西ルートの重要拠点。確かに街を歩くとたくさんの貨物を運ぶ列車の往来を間近で見ることができる。貨物の積み替え拠点は増築中で、さらに輸送量を増やそうとしているのがわかる。「中欧班列」は船での輸送に比べ3分の1の日数で貨物が運べるという利便性から、運行数は10年前に比べ20倍以上に増加し、日々その重要性を増している。 「自由貿易特区」と「中欧班列」。その地理的重要性からホルゴスは北京から見て西の果てにあるにも関わらず、たくさんのホテルや商業施設が立ち並び、他省からも出稼ぎ労働者を呼び寄せる、活気のある街として急成長していた。 ■両国の関係強化にも関わらず厳しい国境警備・・その訳は「ウイグル民族政策」 一方、カザフスタン側にはどんなメリットがあるのだろうか?今回私は「自由貿易特区」のカザフスタン側の責任者に取材のアポを入れていた。てっきり「自由貿易特区」内にいるのだろうと思っていたが前日にインタビューの場所を再確認すると、なんと国境を越えてカザフスタン側に来いという。 「『自由貿易特区』があるくらいだから、中国側から歩いて簡単にカザフスタン側に行けるのだろう」。気楽に考えていた私だったが国境越えは想像以上に大変だった。まず中国側のバスターミナルから指定されたバスに乗り、中国国境へ→徒歩で移動し、出国手続き→再びバスに乗りカザフスタン国境へ移動→バスを降りて入国手続き→再びバスに乗りカザフスタン側の指定するバスターミナルまで移動と、カザフスタンの地に降り立つまで、なんと5時間近くもかかってしまった。