データでみる広島・黒田博樹投手の「アジャスト」とは?
今年の日本プロ野球界において注目度ナンバーワンは何と言っても、黒田博樹投手。メジャーの好条件を蹴ってまでカープ愛を貫き通した男の行動には、日本中が驚かされたのではないでしょうか。現役バリバリメジャーリーガーの日本復帰で、いやが上にも高まる期待とは裏腹に、黒田投手には乗り越えなければならない課題もあるようです。今回のテーマは本人の口からも語られているように、「アジャスト(適応)」です。
日本とメジャーの違い
日本とメジャーの大きな違いが表1となっております。ご覧いただいてお分かりのように、「移動距離」は大幅に短縮される関係でプラスの作用となるのではないでしょうか。特にこれから「アジャスト」する課題となりそうなのが「日本の公式球」への対応で、これは今季の活躍を左右するカギとなりそうです。
課題とは?
「日本の公式球」と「メジャーの公式球」の違いは、メジャーの方が重くて大きい。そして縫い目が荒く滑りやすいと言われています。この違いから生まれるのが、メジャーの方がツーシーム系のボールが変化しやすいという効果です。そして黒田投手の場合は、この違いに対応し「ツーシーム」を武器に多くの打者を打ち取ってきました。その曲がり度合いは魔球と言っても過言ではないほど。しかし今回は再び日本の公式球に戻るわけですから、ツーシームを日本に「アジャスト」させ武器として引き続き使用するのか、それとも見せ球として他の球種で勝負するのか注目です。
メリットも
黒田投手がメジャーに「アジャスト」した結果もたらす先発投手陣への好影響という点では「登板間隔」が挙げられます。日本では主に中6日が一般的ですが、メジャーは中5日が主流。昨年の広島はというと、前田投手とバリントン投手が中5日でも登板しており、バリントンの抜けたところに中5日でバリバリ活躍していた黒田投手が加入するのだから首脳陣としてもありがたい限りです。 そして、その適応過程で身に付けた投球術が「打たせて取る」というスタイルで、これもすっかり広島投手陣にピッタリはまりそうです。投手分業制の確立されたメジャーにおいて省エネ投法で試合数をこなす「先発」の役割に適応、それまでの「完投型」ではなく「試合を作る」メジャースタイルこそ今の黒田投手の持ち味。広島投手陣でも投手分業制は確立されており、一岡、中田、中崎投手などを筆頭にしたリリーフ陣はリーグ屈指。メジャーから広島投手陣へも最高の形で「アジャスト」できるのではないでしょうか。