クルーズ初心者が、いきなり超豪華船「シルバー・ムーン」で別世界を体験してみた
いつかは豪華客船でクルージングを楽しんでみたい……。あらゆるスタイルの旅を楽しみ尽くしたわけでもないのに、ずっとそう思っていた。屋形船とかじゃない巨大クルーズ船にあこがれていた。そんな折、あの通信販売大手のジャパネットが、世界最高クラスの「シルバー・ムーン」をフルチャーターし、その体験取材ができると耳にした。こんなチャンスを逃す手はない。船旅などしたことがない私は、ガラガラとスーツケースを運びながら乗船地の東京クルーズターミナルに向かったのだった。11日間のクルーズ料金が一人約100万円~(! )というのは、どんな世界なのだろう。 【写真】まるで高級ホテル! 11日間で約100万円~、超豪華クルーズ船内の様子
財布もカードもいらない。専用バトラーに何でもお任せ!
東京クルーズターミナルは、ゆりかもめの駅から徒歩8分。が、この日は暑かったので、かなりくたびれた。やはり品川駅から出ているというシャトルバスをつかうべきだった。こういう要領の悪いとこ、我ながら初心者だなあと思う。 クルーズ船に一歩足を踏み入れれば、そこは“外国”。なので乗船カウンターでパスポートを提示する。スーツケースをセキュリティチェックに通して預ける。「こちらは船内のお部屋に運んでおきます」(係の女性)。そして専用ケース入りのカードキーを受け取る。やたらスムーズだ。やることは飛行機に乗るときと一緒だが、とにかく空いていて待ち時間がない。快適きわまりないのだ。 それもそのはず、この船はベリッシマ(全長約316m、19階建て、乗客定員5655名)やダイヤモンド・プリンセス(全長約290m、18階建て、乗客定員2706名)などの超大型船と違って、全長約213m、11階建て。この規模の船にオールスイートでベランダつきの客室(CABINと呼ぶそうです! )がわずか298室、定員も596名だから、乗下船時やレストラン、シアターなどの混雑もなく、船内すべてがゆったり。廊下も階段もエレベーターも、まるでヨーロッパの超高級ホテルのように、きわめてラグジュアリーな雰囲気なのだ。 しかも、8つのレストランや、その他バーラウンジなどでの飲食代、ショーや映画の鑑賞料などは、ごく一部を除いて乗船料金に含まれているから、船内では財布やクレジットカードを持ち歩く必要がない。ただカードキーさえあればいいのだ。 そのカードキーを今回の私の部屋、814号室のドアノブセンサーに近づけると、「カチャッ」と重厚な音がしてドアが開いた。広い! 入ってすぐ左手にバスルーム、ウォークインクローゼットが続き、奥にキングサイズのベッドとリビングスペース。その先にはチェア2脚とテーブルを備えたベランダが見える(下写真)。36㎡のスイートルームの看板に偽りなし! どころか、想像していたよりさらに豪華だ。しかも、もうスーツケースが届いている。い、いつの間に……。 夕方5時、シルバー・ムーン出航。翌日から、熊野・新宮港(和歌山県)、小松島港(徳島県)、終日瀬戸内海クルーズを経て、5日目には韓国の釜山(プサン)に立ち寄り、再び日本に戻って長崎、奄美大島、鹿児島、伊勢志摩(三重県)に寄港、東京へ戻ってくるという、サステナブルな土地ばかりを巡る11日間の旅の始まりだ。 すると「コンコン」とドアをノックする音。さっそくバトラー(執事)が部屋に挨拶に来てくれたのだ。シルバー・ムーンには全室専用のバトラーがつく。彼、彼女らは「お客さまの要望に決してNoは言わない」がモットーだ。 「ようこそ、◯◯様。私はあなたのバトラー、Dです。食事や飲み物はもちろん、お好みの枕やバスソルトなど何でもお申しつけください。お手荷物の荷ほどき、いたしましょうか?」 頼めば、持ってきた洋服をクローゼットに掛けてもくれるらしい。 「私は朝の7時から昼の12時までと、午後4時から9時半まで、常時待機しております。室内の電話機にあるバトラーボタンを押していただければ、私のポケットベルが鳴りますので、すぐお部屋に伺うなり、電話を入れるなどします」 と、マイバトラー。ちなみにすべて英語だが、気の利いた受け答えなどせずとも、ゆっくり、にこやかに話してくれるので十分コミュニケーションが取れる。バトラー不在の時間帯は客室係が対応してくれるため、ルームサービスも24時間オーダー可能だ。ステーキだろうがビール、ワインだろうが、いつでも持ってきてくれて、しかもすべて無料(正確には乗船料金に含まれている)。もちろんチップも必要ない。そもそも、冷蔵庫にミネラルウォーターのナチュラル&ガス入りがそれぞれ用意されていて、無料のコーラやビールなどもたくさん入っている。ルームサービスを頼めるのはよほどの大食漢だけだろう。