50代で5割が発症する「目の病気」眼科医が教える今すぐやるべきこと
近見作業とは、手を伸ばした範囲内を視る作業をいいます。 現代では勉強、読書、デスクワーク、スマホ操作、動画視聴……。「座って手元を視る作業」が日常の大半を占めるでしょう。 つまり半径数十cmの圏内しか視ていないわけです。 しかし人の目は、本来1~2m先にピントを合わせるようにできています。 それを「調節安静位」と呼びます。 ● 対象物と目の距離を 少しでも離せばよい これは旧石器時代や縄文時代を想像してみると、納得しやすいでしょう。 人々が狩猟や採集を行っていた時代は、「1~2m先」を視ていたはずです。 近くを視る瞬間といえば、調理や食事のとき、そしてたまに土器をつくるときくらいだったでしょう。 当然、視力もよかったはず。 ですから“理想論”をいうと、当時の暮らしに今の自分を寄せていけばいいのです。 対象物と目の距離を、少しでも離せばよいのです。 近見作業を行うとき。目からの一般的な距離は次のようになります。 ・テレビ……1~2m ・パソコンの画面……50cm ・タブレット……30~40cm ・スマホ……20cm 同じ内容を視るなら、距離が長くとれるものを選べばベストです。 たとえば動画を視る場合、スマホよりはタブレット、可能であればテレビがいいということになります。 この「画面が大きくなるにつれて、目との距離を離すことができる」という原則を、ぜひ覚えておいてください。正しく視ることで、人生は変わります。 「デジタル作業が人の目に不適な理由」の2つ目は、「本来、目は発光体を視るのに適していない」という点です。 これは専門家でなくても「そりゃそうだろう」と思いますよね。 いくら工夫が凝らされていたとしても、人間の目にとって光とはまぶしいものです。 誰しも太陽を裸眼で長くは凝視し続けられないはず。 でもデジタルデバイスの液晶画面なら、何時間でも飽きずに眺め続けてしまう……。 それでは、目に悪影響が及んでも仕方がありません。 たとえば発光体を視続けるとき。 光っている状態のものをよく視ようとして、どんな人でもまばたきの回数が減ることがわかっています。