前日に試合中止の井岡一翔「気持ちの整理つかない」 王者インフルには「なりたくてなったわけじゃない」
◇プロボクシングWBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦 王者 フェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)<中止>同級6位 井岡一翔(志成)(2024年12月31日 東京・大田区総合体育館) あす31日に東京・大田区総合体育館で予定されていたプロボクシングのWBA世界スーパーフライ級タイトルマッチは30日、中止が決まった。前王者・井岡一翔(35=志成)の挑戦を受ける予定だった王者フェルナンド・マルティネス(33=アルゼンチン)がインフルエンザに感染したため。発症したのは25日で、体調が回復せず、前日計量にも現れなかった。 黒いキャップを被り、サングラス姿で計量会場に姿を見せた井岡は中止を受けて会見した。「自分自身とても複雑な心境ですが、この状況を受け入れて、次に進んでいくしかないと思っている。切り替えて次に進みたい」と話した。この日朝に体重の最終調整をしていた際に中止を聞かされたと明かし、「キャリアでも初めてで、受け入れないといけないが、なかなか実感が湧かない。いつもなら計量器に乗って、水分を摂って、栄養補給してコンディションを戻していくのに、この段階で水分を口にして違和感があった」と戸惑いを隠せなかった。「今も完全には気持ちの整理はついていないが、前を向いてやっていくしかない」と自身に言い聞かせるように話した。 マルティネスは米マイアミでの約4週間の合宿を経て20日に来日したが、26日に予定していた公開練習は37.8度の発熱を理由にキャンセル。 29日に予定されていた調印式もコンディション優先を理由に欠席し、調印式自体が中止となっていた。マネジャー兼トレーナーのカラブレッセ氏は「井岡選手には本当に申し訳ない。やれることは全部やったが、回復できなかった」と謝罪。公開練習の日に病院へ行き、薬を処方されて熱は下がったものの「戦うコンディションにはならなかった」と説明した。 井岡とマルティネスは7月7日に両国国技館で対戦。当時は井岡がWBA王者、マルティネスがIBF王者で、3-0で判定勝ちしたマルティネスが2団体王座を統一した。その後、井岡との再戦を優先して指名試合のあるIBF王座を返上。WBA王座のみを懸けたダイレクトリマッチが決まり、井岡はリベンジを見据えていたが、13度目の大みそか決戦は実現しなかった。 今後についてカラブレッセ氏は「もちろん井岡選手とやりたいと思っている。プロモーター同士の話し合いになるが、我々のチームは井岡選手とやりたい。今回はコンディションをつくれなかったが、マルティネスはこの階級で戦うことになっており、将来は井岡選手と戦えることを希望している」と対戦機会をもうける方針を明かした。 井岡も「マルティネス選手も体調に気をつけていたと思うし、インフルになりたくてなったわけじゃないと思うので仕方ない」と理解を示し、「やれるなら僕も戦いたいし、それがベストと思う。いつでも戦える準備はできているので、マルティネス選手と戦えるなら一番それが理想ですし、戦えないのなら次の王者と戦える交渉に入ってもらいたい」と再戦実現を希望した。