新札発行は「偽造紙幣が出回らないため」と聞きました。「偽造紙幣」って見たことないのですが、そんなに出回っているのでしょうか?
「通貨の出現は、通貨偽造の出現を意味する」とは、ある方の論文に載っていたフレーズです。2024年7月3日に、新札が登場しました。読者の皆さまは、新札の真贋、つまり偽造紙幣を見抜くことはできますか? そもそも新札を見る機会は少ないかもしれません。今やキャッシュレスにセルフレジの時代でもあります。お支払いはいつも「決済アプリ」という方もいらっしゃるでしょう。 また、レジカウンターの内側に立ち、お金を受け取ることをお仕事にされている方も、セルフレジが増えています。仕事柄「お札を見る機会が多い」という方は、むしろ減っているかもしれません。 ▼タンス預金していた現金を銀行に預ける場合、「税金」の支払いは発生するの?
通貨って、どのくらいあるの?
総務省統計局の「通貨流通高」よると、2022年日本銀行券発行高(1万円札・5000円札・1000円札の合計)は125兆683億円です。ちなみに2020年の日本銀行券発行高は118兆3281億円で、2018年は110兆3625億円です。 2019年に消費税増税がなされた際に、2019年10月から2020年6月までの9ヶ月間、キャッシュレス・ポイント還元事業が行われました。そこで、2020年以降はキャッシュレスが進んだであろうと想定され、通貨流通高の減少が期待されました。しかし通貨流通高は一貫して増えています。
偽札・偽貨って、どのくらい出回っているの?
さて冒頭に引用したとおり、「通貨の出現は、通貨偽造の出現を意味」します。そこで、警察庁の統計「偽造通貨の発見枚数」を見てみましょう。 2020年は1万円札で2643枚、5000円札で3枚、2000円札で2枚、1000円札で45枚となっていて、金額にして計2649万4000円です。 また2023年は1万円札で583枚、5000円札で20枚、2000円札はなし、1000円札で78枚となっていて、金額にして計600万8000円になっています。2023年は2020年に比べ、額の小さな偽装紙幣や偽装通貨が増えていることが分かりますし、また合計額は少なくなっています。 なお、新札における偽造通貨の統計は、さすがにまだ発表されていません。