〈遺産総額4,000万円〉子のない専業主婦の遺産を巡り…「夫 vs. 義弟」全面戦争の結末【弁護士が解説】
相続では「夫婦間の財産分割・精算」はできない
今回の問題の根本原因は、夫が稼いだお金がすべて妻側に流れ込んでいることでした。 日本には、夫の給料を妻が管理している家庭が多くあります。つまり佐藤さんのケースは、同様の家計管理をしている家庭なら、どこでも起こり得るトラブルなのです。 夫婦間で財産を分割し、清算する制度は離婚しかありません。離婚の際には、それぞれが稼いだ分を分割する制度が定められています。 しかし、相続の場合においては、夫婦間によって積み上げられた財産である点も、法定相続分で評価されてしまい、それ以外の制度はありません。遺言書等がない場合は、あくまで法定相続分によって整理されるため、配偶者であっても法定相続分以上には相続できないのです。 万一の事態を考え、資産の 整理や管理にも、慎重な対応が求められるといえます。 (※登場人物の名前は仮名です。守秘義務の関係上、実際の事例から変更している部分があります。) 山村法律事務所 代表弁護士 山村暢彦
山村 暢彦