スポーツ界のハラスメント根絶へ! 各界の頭脳がアドバイザーに集結し、「検定」実施の真意とは
他団体との協働で「無駄のない効率的な活動を」
――そこから一気に賛同者の輪も広がっていったのですね。スポーツハラスメントゼロ協会は、どのような形で社会にアプローチしていこうと考えているのですか? 佐伯:スポーツ界では誰もがハラスメントの被害者にも加害者にもなり得るので、人の良し悪しを問うのではなく、問題の本質や構造にアプローチしていきたいと思っています。ただ、ミーティングを重ねる中で、「私たちだけではどうにもならない」ということを改めて感じました。もともと少ないリソースをどんどん消費してしまい、なかなか社会に響くようなインパクトを与えることができないんです。そこで、他団体と協働して、勉強会を開いて情報や活動をシェアしたりするようになりました。 ――具体的にはどのような組織と協働し始めているのですか? 佐伯:たとえば、Jリーグの育成部のセーフガーディングチームや、セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン、一般社団法人スポーツ・コンプライアンス教育振興機構、元なでしこリーガーのみなさんが立ち上げた一般社団法人S.C.P.JAPAN、部活の地域移行支援事業を全国レベルで展開されている「イマチャレ」などと交流しながら、われわれの活動にも興味を持っていただけるようにアピールしています。今はそれぞれの組織が独立してバラバラに活動をしているのですが、それだともったいないなと感じていたんです。 ――協働することによって、どのような相乗効果が期待できるのでしょうか? 佐伯:私たちは団体として「スポーツハラスメントの定義」を設定するのにすごく時間がかかりました。他の団体の皆さんも同じようなプロセスを踏みながら進んできていますが、それぞれの団体で定義がバラバラだったりもします。もちろん、各団体で領域や守備範囲、事業活動も違うわけですが、同じ目的のために連携してリソースを共有できたら、さらに全体がパワーアップできるのではないかと考え、私たちのほうからお声がけを始めているところです。なかには利益を第一に考えているような団体もありましたが、そういう組織とは組まず、「このスポーツ界を何とかしたい」と思う人たちだけで手を組んで、無駄のない効率的な活動をそれぞれが行えるようにしたいと考えています。