異例の「JRきっぷで他社の高速バスOK」から5年 競合がタッグ組んだローカル線「予想以上の成果」
予想をはるかに上回る利用
出発すると牟岐線と並走しますが、ほぼ線路は見えません。国道56号をしばらく進み、線路が見えだすと急に人家が増え、16時58分に牟岐停留所に到着しました。6人が下車し、その中には日和佐からの学生もいました。 乗車はなく、出発。17時12分着の浅川停留所は、浅川駅から70mほどの場所にあります。1人が下車し、乗車はありませんでした。 市街地を走り、17時17分に海部高校前停留所に到着。ここは2023年に新設され、牟岐線の終着駅である阿波海南駅に近い場所です。1人が下車しました。 ダイヤ通りなら17時8分着なので、遅れは9分。ちなみに阿南~阿波海南間は、牟岐線だと14駅停車で1時間18分。徳島バスだと5停留所停車で、1時間35分です。 鉄道とバスとで実用的なダイヤに調整することで、地元の足として定着している印象を受けました。JR四国との共同運行について徳島バスは、「きっかけは2019年のJR四国様のダイヤ改正です。徳島県が調整役となり、当社の高速バスで牟岐線と並行する停留所の途中乗降を可能とし、JRとの乗り継ぎを考慮としました」と話します。 ただ、この時点ではダイヤや運賃の共用化は考えていなかったそう。バスとJRの運賃が異なることで、利便性に課題があったのです。国土交通省より特例法の紹介を受け、JR四国へ共同運行を持ちかけて実現に至りました。 「2021年度の阿南~甲浦間の利用実績は541人で、計画では2023年度に590人になると予想していました。ところが予想に反し2557人と大幅に増加したのです。特に2023年5月、海部高校前バス停を新設し隣接する阿波海南駅と共同化したところ、年間355人に利用いただきました。鉄道のきっぷとバスの現金支払いの利用者数についても、2022年に1日5.69人だったのが、2023年は6.96人と増加しています。現状で共同運行を拡大する予定はありませんが、予想以上の成果です」(徳島バス) 全国的にも珍しい取り組みですが、これまでは成功のようです。他所でも適用できるケースがありそうだと感じました。
安藤昌季(乗りものライター)