取引相手と長期的な関係を築く…「メインバンク制」と「下請け制」の想像以上に大きなメリット【経済評論家が解説】
下請け制度のメリット…意思疎通が容易、設備投資も決断しやすい
大企業が部品を仕入れる際に、いつも同じ会社(下請けと呼びます)から仕入れる場合が多いのですが、この制度にも合理性があります。部品メーカーの技術力や納期の正確性等に関するリスクが小さいこと、打ち合わせが「前回通りで」で終わる…などのメリットがありますが、ほかにもメリットは多数あります。 毎回同じ企業から仕入れることがわかっていれば、下請企業は思い切って設備投資をすることができます。それによって生産効率が上がり、安く部品を納入することができるようになれば、親会社にとってもメリットとなるでしょう。 親会社が下請けに技術指導をすることもできますし、場合によっては新製品の開発段階で下請企業と共同作業ができるかもしれません。そうなれば、新製品の開発を終えてから「このスペックで部品を作れる企業を探しています」と広告するよりも、生産開始時期が大幅に早まるでしょう。 「真面目に働かなくても将来の受注が確実なら、サボる下請けが出てくる」という懸念はありますが、あまりに酷い場合には下請けを切られる可能性もありますから、それを考えれば下請けがサボるインセンティブは大きくないでしょう。 今回は、以上です。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密ではない場合があります。ご了承いただければ幸いです。 筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。 塚崎 公義 経済評論家
塚崎 公義