「年賀状離れ」、はがき値上げで拍車か 考え直す人とのつながり方
年賀状作りの季節がきた。発行枚数が減り続けるなか、今年は10月に1枚63円から85円に値上がりし、さらなる年賀状離れが予想される。SNS全盛の社会で、人とのつながり方を改めて考える機会にもなっている。 【写真】年賀状発行枚数の推移 京都府宇治市の主婦、高井志津加さん(51)は今冬から年賀状を出すのをやめることにした。はがきの値上がりを受け、夫と話し合って決めた。夫婦2人で計50枚ほど出していたが、来年は相手から来た場合は返すことにするという。 年賀状でのみ近況を知る相手もおり、やめることにためらいがなかったわけではない。だが、友人から「もらったら自分も返さねばとプレッシャーに思う人もいる」と言われた。「年賀状以外でつながる方法もあると思った」 コロナ禍では友人と会えない分、LINEでメッセージを送り合い、それまで年賀状だけの間柄だった相手ともやりとりが生まれた。昨年5月にコロナが感染症法上で5類に移行してからは、頻繁に会うようになった。「前より濃い時間を過ごせている」と話す。 東京都内の公務員男性(41)は、年賀状を「一部やめる」と言う。すでに「年賀状じまい」した知人がおり、また職場内での年賀状は気を使わせると思っていた。そこにはがき値上げの知らせ。例年50枚ほど出す年賀状のうち、メールやLINEでは連絡が取れないお年寄りらを除いた半数ほどは、送らないことにした。 年賀状については「年に一度くらい、ゆっくりと相手を思いおこしながら、手書きで伝えたいことを記す時間にしていた」と言う。「一部でもやめるのには少し寂しさはある」 フォトブック制作会社「アスカネット」(広島市)が10月に実施した調査では、20代以上の男女308人のうち66人(21・4%)が年賀状を「やめるつもり」、135人(43・8%)が「送る枚数を減らすことを検討する」と答えたという。
朝日新聞社