<強者に勝て!・’21センバツ下関国際>支える人/4止 周南スポーツ店長 三浦省吾さん(49) /山口
◇用具面で選手の支えに 下関国際野球部が絶大な信頼を置くスポーツ用品店「周南スポーツ」(周南市福川南町)。店長を務める三浦省吾さん(49)は「特にグラブは、一番身につけるもので本人の相棒。一瞬のプレーを大事にする人はグラブを大切にする」と語り、用具面で選手たちを支えている。 意識しているのは、その選手がしたいプレーをできるようにすることだ。修理をして、別物になってしまうと意味がない。ひもが切れたグラブの場合は、新しいひもできつく縛るだけでは固くなってしまう。そうではなく、なるべくなじんでいるものに戻すことが三浦さんが大切にしている「修理」だ。どこでボールを捕っているのか、手の大きさ、手を入れてつかむ感覚など、グラブからその選手が使っている姿をイメージしている。 2018年夏の県大会準決勝前には、下関国際から急ぎでグラブの修理を頼まれた。当時の品川優人捕手のキャッチャーミットで、捕球面の革が破れたり、裂けたりしていた。新しく革を当てるなど修理をして、試合当日の朝に届けることになった。「甲子園が懸かっている試合で、グラブが硬くて捕りにくいというわけにはいかない。野球は一瞬でセーフかアウトかが決まる。いつもと同じことができなければ、試合の局面が変わる。その一瞬に思いを寄せている」と振り返る。 三浦さんは下関市の響高校野球部(廃校)、社会人野球を8年経験した。高校野球のコーチを務めながら、07年、社長の高瀬英明さんとともに周南スポーツを開業。最初はできる修理の範囲も限られていたが、独学で学び、経験を重ねることで今のように修理の幅が広がった。下関国際の選手たちと直接会う機会はほとんどないが「選手たちがやりたいプレーをできるように、こういう形でサポートすることができてうれしい」と話し、預かったグラブに思いを込めている。【堀菜菜子】=支える人おわり 〔山口版〕