岩佐歩夢、F2参戦最終年を「チャンピオンを逃したのは好機を落とした結果」と辛口総括。卒業レースには一定の満足も
DAMSからFIA F2に参戦した岩佐歩夢は2023年シーズンを振り返り、ドライバーズランキング4位に終わった理由として「チャンスをモノにできなかった」ことを挙げた。 【動画】角田裕毅&岩佐歩夢が登場! 臨時講師として”古巣”HRSのスクール生とカートバトル 尻上がりに調子を上げた2022年シーズンに続き、同じDAMSからF2での2年目を迎えた岩佐。2023年は3勝を含む6回の表彰台を獲得したものの、予選から歯車が噛み合わなかったり、接触によりポイント獲得の機会を逃したり、天候やマシントラブル、チームのミスに翻弄されたりと満足にレースを戦うことができない週末も少なくなかった。 「悔しい結果になってしまったというのが正直なところです」 岩佐は2023年を振り返ってそう語った。 「僕としては2年目のF2で大きく成長できましたが、チームと一緒に戦っていく中で、チームや自分自身の小さなミスが積み重なってしまいました」 「先日、自分のシーズンを振り返る時間を設けて振り返りましたが、大きなチャンスやターニングポイントで落としていた部分が多かったことが結果としてシリーズチャンピオンを獲れずにランキング4位に終わってしまったというところに繋がったと考えています」 「例えば、自分たちがターゲットとしていたセットアップから外れてしまったり、分析の道順でミスして結果を逃してしまったりと、目に見えないミスもありました」 「チームとしては、昨年の後半戦のような流れや結果をターゲットに据えていましたが、そこまでのパフォーマンスを発揮できなかったというところは、チーム全体の大きな反省点だと思います」 岩佐はヤス・マリーナ・サーキットで行なわれた最終戦アブダビにランキング3番手で迎えた。予選でポールポジションを獲得できればタイトル争いに踏みとどまることができるという状況だった。 しかし予選結果は5番手。岩佐はこれでタイトル争いから脱落することになったが、5番手というポジション自体には一定の満足感を示した。 「求めていたモノではなかったと思います。ただ、予選に関しては良くはありませんでしたが、かなり悪かったとは思っていません。というのも、それまでの数戦を振り返ってみると、予選でタイヤを上手く使えずに15~16番手というところに沈んでいましたが、それを5番手まで戻すことができました。その5番手に降着する前は暫定トップや2番手というタイムを残していました」と岩佐は言う。 「正直、2回目のプッシュで自分は改善できなかった一方で他の選手はコンマ何秒か上げて順位を改善してきたというところについては、なぜそうなったのかと思うところもあります。ただ5番手という結果は、自分たちの今までのパフォーマンスを考えるとステップをひとつ踏むことができたと思えたので、そこはポジティブでした」 そして岩佐は土曜日のスプリントレースで8位、日曜日のフィーチャーレースでは表彰台争いに敗れて4位フィニッシュとなり、最終的にランキング4位でシーズンを終えることとなった。 岩佐は、ダンパーの問題がセットアップに影響を及ぼす厳しい状況の中で、持てる力を全て発揮できたとラストレースに自己評価を下した。 「レースに関しては、土曜日にダンパーの問題が発生しました。ダンパーは直りましたが、正しいデータが取れずに日曜日のセットアップを外してしまいました。そこは正直、チームとしての悪い流れを作ってしまいました」 そして岩佐は次のように続ける。 「僕としては厳しい中でも、特に日曜日のフィーチャーレースに関してはやりきったと思っています」 「表彰台圏内でライバルを抑えきれなかったのは反省点としてありますし、分析すればするほど『もう少しこうできたかも……』というのは出てきます。しかしあの状況の中、全くペースの違う(ライバルが迫る)中でも、今まで自分が培った経験値と強さをディフェンスで最大限発揮できたと思います」 2024年シーズンは日本のスーパーフォーミュラに2023年のチャンピオンチームであるTEAM MUGENから参戦する。チームメイトは2度のシリーズ王者である野尻智紀だ。 12月初旬に岩佐は鈴鹿サーキットで行なわれた3日間の合同テストに参加してマシンの習熟を実施。総合4番手タイムを記録した。 「1発の速さという面に関しては、特に今年のF2ではちょっと印象が薄かったかなと思います(笑)」 岩佐は2023年をそう振り返り、2024年に向けて次のように意気込んだ。 「色々な要素があってのことというのは理解していますが、来年はMUGENさんと一緒に予選でも良いパフォーマンスを発揮して、レースに関してもタイヤマネジメントなどの自分の強みを活かしていきたいです」
滑川 寛, 田中 健一
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