父の思い…娘の絵と対峙する日々 “生と死”見つめ 夭折の画家・須藤康花 没後15年・初の回顧展
特集です。30歳でこの世を去った画家・須藤康花の初の回顧展が松本市美術館で開かれています。生と死を見つめ続けた康花の作品は、父親が建てた小さな個人美術館で多くの人の心を動かしてきたものです。
「夢は限りなく美しい 無限の響きとその眩い一瞬を 永久に閉じ込める嵐のように 強く 深く そして悲しい」
須藤康花。 病、そして死と向き合いながら、生きる証しを探すかのように描き続け、短い生涯を終えました。
「夭折の画家 須藤康花ー光と闇の記憶ー」 没後15年、初めての大規模な回顧展が始まっています。 東京から: 「絵、ひとつひとつが語り掛けてくるような強いメッセージがあったので、忘れないと思います、見たことを」
回顧展を特別な思いで迎えた人がいます。 父親の須藤正親さん(82)です。 父親・須藤正親さん(82): 「けさ、仏壇に手を合わせてきました。きょうから開かれるよ、と。あなたも見たらきっと、ああ、よかったと言うに違いないと」
須藤康花は1978年、福島県で生まれ、大学教授の正親さんの転勤で神奈川や北海道で育ちます。 2歳の時、腎臓の難病・ネフローゼ症候群を発症。
治療や副作用の影響でほとんど学校に通うことができなかった康花を救ったのは、絵を描くことでした。
しかし14歳の時、付きっ切りで看病してくれた母をがんで亡くします。 (詩) 「自分が代わりに死ねば どんなに良かったかと 私は幾度もそう思った また右胸がしくりと痛んだ 私はこの痛みが私と母をつなぐ 暗黙の証のような気がした」
母の死、そして慢性肝炎も患うようになった自身の体。 康花は遺書をしたためました。 (遺書) 「先立つ親不孝を許してください この次にも、お父さん、お母さんの子として、ただし健康で元気な子として 生まれてきたいです」
しかし、自殺は思いとどまりました。 父親・須藤正親さん: 「結果的には死ぬことを選ばずに、生きようと。それはやはり絵だったんですね」