「Come to school(教えてやるから来いよ)」河村勇輝はなぜNBAスター選手たちに愛されるのか? “理想的な環境”だけじゃない急成長の秘密
今シーズンからNBAメンフィス・グリズリーズとツーウェイ契約を結んだ河村勇輝(23歳)。世界最高峰の舞台で一流選手と過ごしながら、下部のGリーグでアウトプットできる環境は、今の河村にとって理想的と言えるかもしれない。ジャーナリスト宮地陽子氏が急成長の舞台裏を探る。〈NumberWebレポート全2回の前編/後編に続く〉 【秘蔵写真】「ユウキ、超クールだ!」大男たちの“ど真ん中”でキメる174cm河村勇輝『坊主頭がカワイイ天才高校生時代』『モラントといつもニコニコ』とにかくイキイキしてるNBA生活を見る(全70枚超) それは、まったくの直感によるプレーだったのだという。 河村勇輝が現地11月15日のGリーグ・デビュー戦で見せた360度回転からのレイアップシュートのことだ。 ディフェンスで相手からボールを奪った河村は、ドリブル速攻で走ると、ゴール前でディフェンスをかわすために左方向にクルッと回ってレイアップを放った。その11日前、NBAメンフィス・グリズリーズのチームメイトでエースのジャ・モラントがブルックリン・ネッツ戦で見せたスーパープレーを真似たものだった。 後日、そのプレーについて聞くと、河村は「練習していたわけではないのに直感的に出ちゃって……。ジャ・モラントのプレーを見すぎなのかもしれないですね」と苦笑した。
「少し練習が必要だな。教えてやるから来いよ」
モラントのシュートと違ったのは、モラントが余裕でレイアップを決めたのに対して、河村は回転が少し足りずにシュートがずれ、リング手前に当たって落ちてしまったこと。 そのプレーを動画で見たモラントは、インスタグラムストーリーで河村に「少し練習が必要だな。Come to school(教えてやるから来いよ)」とメッセージを送った。それに対して河村は「君のプレーを自分でも体感してみたかっただけなんだ。もうやらないよ。君は特別だ」とメッセージを返している。 失敗に終わり、本人も「もうやらない」と言っているプレーだが、これには河村が渡米後に急成長を見せている理由が詰まっていた。NBAスーパースターのプレーを、自分では一度も練習していなかったにも関わらず、試合の中でとっさに繰り出す判断力と学習力。誰にでもできることではない。 しかも単に派手なプレーをしようとしたわけではなく、その判断には河村なりの理由があった。 「相手(ディフェンス選手)がすごく跳躍力がある選手だっていうのはわかっていて、簡単にはシュートにいけないだろうなっていうので、本当に直感で、その瞬間に回っていったっていう感じです」 モラントには「もうやらない」と言ったものの、河村が本気になってこのムーブを練習して習得したら、174cmのサイズでNBAを生き抜くための武器のひとつになるのではないだろうか。そう聞くと、河村は「そうですね。習得したら武器にはもちろんなると思います」と認めた。本気で「二度とやらない」と思っているわけではなさそうだ。 「ま、(今回は)直感的に出ちゃったのであれですけど、僕のポリシーとしては、やっぱり練習でできないことはなかなか試合ではできないだろうなっていうのはあるので。ジャも"Come to school"って言ってましたけど、練習が必要だなとは思います」
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