バフェット氏が「たった4つのシンプルな単語」で示した人事管理の鉄則とは
ウォーレン・バフェット氏は、ビジネスと投資に関して、非常に価値の高い洞察を披露してきたことで知られています。一方で同氏は、人事管理に関してもすばらしい知恵の持ち主なのですが、この点は見過ごされがちです。 その具体例を挙げましょう。バフェット氏は以前、組織を率いるリーダーや管理職にとってとても重要な教訓を、4つのシンプルな単語で表現しました。 それは、「Hire well, manage little(賢く採用し、管理は最小限に)」という言葉です。
「賢く採用し、管理は最小限に」の真意
適切な専門知識と技術的スキルを兼ね備えた人物を採用することが、成功する組織への道を切り開くということについては、誰もが納得できると思います。 バフェット氏の金言に従う管理職は、さらに踏み込んで、価値観や文化が自身の企業と一致する人物を探し、結束の強い職場環境を育くむ必要があります。これによって、この名言の前半にあたる「賢い採用」を実現できるはずです。 たとえばバフェット氏は、「誠実さという特質を持つ人材を雇うこと」が何よりも重要だと、繰り返し強調してきました。これは非常に筋の通った話です。なぜなら、言行が一致していて、高い倫理的基準を持つ人材こそ、「組織内における信頼」の堅固な基礎になるからです。 良い人材を採用できれば、次のステップは、バフェット氏の言う「管理は最小限に」という部分です。これは何も、リーダーとしての義務を放棄するという意味ではありません。配下のチームが「独力で」卓越した結果を出せるような環境をつくる、ということです。 こうしたアプローチを採用すれば、自由や自律が促され、チームメンバーは、常に上司にお伺いを立てることなく自分の頭脳とスキルを用いて決断ができるようになるでしょう。 では、バフェット氏の言う「管理は最小限に」という部分を、さらに掘り下げてみましょう。これを実現するための4つの具体的方法を以下に挙げます。 1. 部下を信頼し仕事を任せる 配下のチームを信頼し、責任や決断を任せることが大切です。タスクを任せることは、従業員の能力を高めるだけでなく、上司の側にもメリットがあります。時間の余裕ができて、戦略の企画立案に集中できるようになるからです。 チームに裁量権を与え、部下が自分で仕事を管理し、決断を下せるようにしましょう。信頼されていると感じれば、部下のモチベーションが高まり、自身に与えられた役割について、より積極的に取り組むようになるはずです。 2. より大きい視点での計画の立案に集中する リーダーの立場にある者は、何をおいても、所属する組織の長期的ビジョンや戦略的目標に照準を合わせるべきです。 部下を管理する業務を減らす(あるいは最小限に抑える)ことで、より多くの時間を、計画立案やイノベーション、企業を前進させるためのタスクに費やせるはずです。 部下の一挙手一投足に干渉するマイクロマネジメントはやめて、継続的な改善を促進するプロセスやシステム作りに集中しましょう。そして、チーム内に学習と発展を重んじる文化を育んでください。 3. 成長を促す環境づくり 適切な人材を従業員として採用したなら、新しい従業員がスムーズに組織になじめるように、入社後研修プログラムの構築に投資することが肝心です。 そして、研修や育成期間の時期が過ぎても、継続的な研修および能力開発の機会を提供し、スキルの向上とキャリアアップを促しましょう。 最後に、従業員の成果や貢献を認め、報いることを心がけてください。功績を評価することで前向きな職場環境が生まれ、従業員の間で、さらに実績をあげようというモチベーションが高まります。 4. 効率的な意思疎通 明確な期待値や目標を設定しましょう。すべてのチームメンバーが、自分に与えられた役割や責任を理解することが重要です。 マイクロマネジメントに陥らないことは大切ですが、定期的に部下の状況をチェックし、ガイダンスとサポートを提供しましょう。こうしたチェックは、問題点に対応し、建設的なフィードバックを伝える価値ある機会であり、チームの成長と成功を後押しするでしょう。 バフェット氏のシンプルな金言「賢く採用し、管理は最小限に」には、有能なリーダーが取るべき姿勢のエッセンスが詰まっています。適切な人材を採用し、卓越した結果を自ら生み出せるような環境をつくることで、管理職は組織を成功に導くことができるはずです。 Originally published by Inc. [原文] Copyright © 2024 Mansueto Ventures LLC.
長谷睦(ガリレオ)