<センバツ高校野球>選手宣誓は「ありがとう」 重傷から復帰の広陵・秋山主将 センバツ開会式
平成を締めくくる第91回センバツが23日、兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕した。選手宣誓を託された出場32校の代表は、時代の節目であることに触れながら、伝統の大会を次代へ継承することを誓った。選手の入場行進、国歌独唱、宣誓にそれぞれ大きな拍手が送られ、球児たちの12日間が始まった。 【甲子園のグラウンドに整列する選手たち】 「緊張したが、堂々と間違えずにできたので100点です」。開会式の選手宣誓を終えた広陵(広島)の秋山功太郎主将(3年)は、安堵(あんど)した様子で語った。 捕手としてもチームの要になってきた。センバツ出場が決まった翌2月、練習中にボールが下腹部に当たり重傷を負って入院。練習に参加できなくなったことへの焦りとショックで、まぶたを腫らした。 岡山県出身で寮生活を送るが、直後から母裕子さん(49)が駆けつけてくれた。「人生に無駄なことはない。だから前を向いて」。病室での母の言葉が、胸にしみた。 2週間ほどの療養を経て練習に復帰すると、周囲は普段と同じように迎えてくれた。戻ったばかりの頃は、恐怖心が拭えず守備でミスが目立った。それでも、「お前の打つところが見たい」などとポジティブになれるよう声をかけてくれた。 選手宣誓の言葉は、チームメートらと一緒に考えた。一番伝えたいメッセージが「ありがとう」だった。入院生活を経て「親や友人、指導者のお陰で野球ができている」と改めて実感したからだ。 平成の時代、日本列島で災害による悲劇が相次いだ。昨年7月の西日本豪雨で広島、岡山は甚大な被害に見舞われた。中国地区の代表として、被災者への思いを盛り込むことも頭をよぎったが、この日はあえて触れなかったという。「つらい体験を思い出してしまう人もいるかもしれないし、新しい未来を切り開きたい」 重責を果たし、既に気持ちは切り替えている。「接戦になると思う。主将としてチームの勝利に結びつくようなプレーをしたい」。第4日の八戸学院光星(青森)との初戦に向け、力を込めた。【隈元悠太】