「テレビ復帰は絶望的」は大した問題ではない…ダウンタウン松本人志に残された芸人として生きる"唯一の道"
■芸人として生きる道 松本氏を含むダウンタウンが、いまだに大阪・関西万博のアンバサダーを務めていることには、多くの批判が寄せられている。そんななか、「年明け復帰説」もまことしやかに語られている。しかし、これまで述べてきたような理由で、やはり松本人志氏の「復帰は難しい」と言わざるを得ない。 「探偵!ナイトスクープ」で復帰するかと一時期は騒がれたが、11月1日放送の西田敏行氏追悼回の番組内に西田氏から松本氏に局長役を交代するシーンが流れたことに対して、苦情や抗議が寄せられた。同番組の制作は朝日放送だ。 もちろん、朝日放送は吉本の株主会社のひとつである。同局は、松本氏によって支えられ絶大な人気を誇ってきた「M-1グランプリ」も制作している。この出来事によって、最後の「頼みの綱」であった在阪テレビ局番組での復帰という道も閉ざされることとなった。 だが、そもそも松本氏は地上波テレビに復帰したいとか、復帰できると思っているのだろうか。それだけの価値が、今のテレビにあるのか。 私は、松本氏は自分のテレビでの復帰は難しいと十分にわかっていると考えている。また、「テレビに復帰したい」という思いもそんなに強くないと感じている。いまのテレビにはそんなに「うま味」はないからだ。そんな人物に対しては「生殺与奪の権」は効果がない。 そして「復帰は難しい」とはいうものの、「まったくゼロではない」と私は分析している。吉本も訴訟取り下げを受けて、活動再開について「関係各所と相談の上、決まり次第、お知らせさせていただきます」という前向きなコメントを出している。バッシングを受けるのがわかっていながらこのような発言をすることの裏には、「稼ぎ頭」の松本を一日も早く稼働させたいという思惑が隠されている。 ■かつてテレビは芸能人の「生殺与奪の権」を握っていたが… 私は、松本氏復帰の唯一の場は「配信」だと考えている。その可能性を実証してゆきたい。松本氏の復帰が難しいのは、地上波に限ったことだ。「性加害疑惑」という醜聞を気にするスポンサーの存在があるからである。ならば、スポンサーがいない土俵でなら相撲が取れるのではないか。そんな発想から浮上したのが、「なんばグランド花月(NGK)」での復帰説である。 この可能性もないわけではないだろう。だが、プライドの高い松本氏のこれまでの行動パターンから考えても、起死回生の起爆剤とまでにはならない中途半端な復帰劇は考えにくい。「派手にぶち上げたい」と考えるなら、配信はそういった狙いにぴったりのステージなのだ。 私は過去にこのプレジデントオンラインで、番組のアイデアやコンセプト、構成、ノウハウをひとつの「フォーマット=かたち」として海外に売る「フォーマットセールス(フォーマット販売)」にテレビ局が力を入れているという分析をおこなった。そしてこのビジネスの「最前線」とも言えるのが、カンヌ映画祭で知られる南仏のカンヌで毎秋開催されている「MIPCOM(Marche Internationale des Programmes Communication)」という世界110カ国、1万人以上のメディア関係者が参加する世界最大級のテレビ・映像コンテンツの国際流通マーケットであることにも言及した。 吉本興業はこのMIPCOMにブースを出展している。さらに、岡本社長自ら現地入りし、開催初日に基調講演をおこなうほどの力の入れようだ。その目的は何か。その答えに、松本氏復活の道筋がある。