「ICEもEVも本気で取り組む」「CBブランドは残す!」ホンダ二輪事業本部長 加藤稔さんに聞く【TOPインタビュー】
中国メーカーが大排気量の4気筒まで開発し始めたのはすごい脅威だと感じている
ホンダのICE は、新開発の750cc水冷並列2気筒エンジンを搭載したCB750ホーネット、XL750トランザルプの販売が好調で、ヨーロッパでの販売台数、シェアも好調に推移しているそうだが、一方でユーザーからはホンダらしさがないという声も調査で上がっているそうだ。 「そんな声に加えて、中国メーカーが400、500だけじゃなくて、その上の600~900ccクラスまで、それも2気筒だけじゃなく3気筒、4気筒までかなり本気でやってき始めたので、すごい脅威だと思っているんです。次から次に新機種を出してくるし、ヨーロッパの二輪ブランドをどんどん傘下に収めるなどちょっと嫌な流れになっています。 先日のEICMAで、現地のホンダスタッフと一緒に会場を回りながら話をしたんですが、若い人が最初に中国新興メーカーのバイクを経験すると、これでいいじゃんとなる傾向があるそうです。中国メーカーもレース活動も含めて、ブランド価値の向上も図ってきていますが、若い方にとってそれが当たり前になると困ります。ベテランライダーなら、乗っていただければやはりホンダの方がしっかり作りこんでいる、安心して乗れるとご理解いただけると思いますが、若いお客さまはそれを知らないままになるかもしれない。 今年5月の北京モーターショー、9月の重慶モーターショーも行ってきましたが、若い人がどんどん増えていて、中国メーカーのブースにもその若い人たちがたくさん、FUNモデルを見に来ていました。コミューターは落ちてきていますが、FUNモデルはこれからまだ伸びると思っています」 加藤さんによると、足元の中国マーケットは60万台規模だが、今のペースで伸び続けると80~100万台も見えてくるという。そうなると、ヨーロッパとあまり変わらない規模となり重視せざるを得なくなる。加藤さんによると、特に若い人が求めているのは、やはりスタイル、さらにはスマホとの連携機能だという。 「スマホとの連動は、中国勢は非常に積極的にやっていて、対抗するために我々ももっとスピードを上げないといけないと思っていますが、中国勢はとりあえず出してみて、ダメだったら次に直せばいいやという感じですが、我々はテストして、さらにテストして絶対に大丈夫なものを世に出すのが基本です。ただ、走る・曲がる・止まるにかかわらない部分は、外部の力を借りるなどしてスピードアップを図らないといけないとは思っています」 スマホとの連携を重視する一方で、中国勢の動向にリンクするように、4気筒モデルに対するお客さまの興味も高まっているそうだ。 「2気筒、3気筒よりも4気筒の方がハイスペックだとお客さまは思ってくださっているようで、重慶モーターショーでも現地スタッフの強い要望で『4気筒モデルを開発しています』とあえて言いました」 ──左はCFモトがEICMAで公開した、最高出力212psを発揮するというV型4気筒997ccエンジン(プロトタイプ)。搭載されるバイクは、大型ウイングレットを備えたスーパースポーツスタイルだ。右のフルカウルスポーツモデルは、QJモーターのSBK800RR(発売中・価格は9999ユーロ)。778ccの水冷4気筒エンジンは95psを発揮する。これら中国メーカー製の4気筒モデルの台頭に、ホンダも黙ってはいられない。