日本版「デジタルノマドビザ」、実際にビザ申請した外国人が日本を選んだ理由と課題とは?
2024年4月1日から日本でも「デジタルノマド」ビザ制度が始まった。「日本にビザなしで入国できる国・地域の国籍」を持つ「年収1000万円以上」が条件。米国、オーストラリア、ドイツ、フランス、韓国、香港、台湾など約50カ国・地域が対象となる。日本政府は、新たな訪日外国人の受け皿として期待をかける。 制度がスタートして間もないが、日本でデジタルノマドとして滞在することに関心がある外国人の動きは早い。入管法令に関わる外国人のための諸手続を専門とする行政書士法人Japan Expert Immigration Law Firmにも問い合わせが寄せられ、4月18日に20代の米国人男性のデジタルノマドビザを申請。20代の英国人男性の申請も準備しているところだという。職業は両者ともフリーランスの作家で、当然ながら年収条件をクリアしている。 このほか、同法人ではノルウェー、オーストラリア、米国などの居住者からの問い合わせも受けている。職業は投資家、ゲームクリエーターなどさまざま。夫婦での滞在を希望している人もいるという。 同法人代表行政書士の金沢直樹氏は、「申請を済ませた米国人男性も含めて、観光で訪日している期間に事務所を訪れ、相談される方が多いです」と明かす。デジタルノマドビザの場合、法令上代理人規定がなく、申請は個人で居住国の日本大使館や領事館で行うことも可能だが、日本国内での申請よりも時間がかかるうえ、専門的な知識も必要なため、金沢氏は「それは勧めていない」と話す。 実際のところ、同法人初のケースとなった米国人男性のデジタルノマドビザ申請時には出入国在留管理局の受付体制がまだ整っていない様子で、金沢氏は「今後、当局が実務的な手続きをどのように詰めていくのかも課題」との印象を持ったという。
デジタルノマドが日本を選んだ理由とは?
同法人にデジタルノマドビザで相談を寄せる外国人は、今のところ全員が訪日経験者。日本でのデジタルノマドを選んだ理由については、「訪日中に日本を気に入った。いろいろな国に行ったが、日本は安全で、インフラが整い、さまざまな観光も楽しめる」と話す人が多いという。 ただ、滞在期間「6ヶ月」については、短いと感じているようだ。デジタルノマドビザの延長は認められておらず、6ヶ月以上滞在したい場合は、期限が切れる前に再度申請し、一旦日本を離れたうえで取得する必要がある。 6ヶ月という期間は、滞在する場所の問題も浮き彫りにする。長期賃貸には中途半端な期間で、ホテル滞在をするにはコストが大きい。申請を済ませた米国人男性は、都内に居住することを希望しているが「一般的な賃貸物件の契約も難しいだろう。エアビーや民泊などを利用することになりそうだ」と話しているという。