90分間ただ「ぼーっとする大会」 韓国・ソウル、スマホや時計に追われる日常忘れて
韓国ソウル中心部を流れる漢江沿いの公園で90分間、何もしないことを競う「漢江ぼーっとする大会」が12日に開かれた。スマートフォンや時計を手放し、せわしない日常から解放されることを目的に始まり、今年で10年。参加者は虚空を見つめ、無心の時間を過ごした。 【写真】優勝したクォン・ソアさん 大会のルールは、スマホ、会話、睡眠、時間の確認、笑うことなどを禁止。違反すれば即退場になる。事前に4色のカードが渡され、提示すればマッサージや飲み物が提供される。 スピードスケート元五輪選手、ユーチューバー、警察官など77チーム、計117人が参加。開始前は写真を撮り合ったり、笑顔で話したりしていたが、開始の合図とともに無の境地に。座り込み、一点を見つめてただ時間が過ぎるのを待った。 何もしないのも楽ではない。50分経過したころに女子高校生が脱落。「日差しが当たって頭が痛くなった」。1時間を過ぎたころには小学生の男児も会場を出た。 参加者の順位は計6回測定する心拍数の安定性と見物客の投票で決まる。優勝したのはソウル市のフリーアナウンサー、クォン・ソアさん(35)。クォンさんは「日頃は仕事が忙しくて90分間も何もせず過ごすことなんてない。姿勢も変えられなくてきつい時間もあったけど、うれしい」と話した。 提唱者で芸術家のウップス・ヤンさんは「大会は、忙しい現代人たちに『何もしないのは時間の無駄か』と問いかけるパフォーマンスだ。みんなでぼーっとする活動に価値を与えたいと考えた」と語る。昨年11月には東京でも行われた。 (ソウル山口卓)