[キャンドル・ジュンさん]福島に通い13年 炎で困難は乗り越えられるか…“騒動”を経て考えたこと
困っている人のところに行く
――困難を抱えている人はたくさんいます。どのように乗り越えたらいいでしょうか。 「自分のためにろうそくを灯してみてください」と言いたいです。火を見つめながら自分自身と向き合う。その問題がどういう存在なのか。輪郭が少し見えてきたり、本質を深掘りするきっかけをつかめたりできると思います。それを具体的にペンで書き出していくということも大事かな。なにかのせいにしていることも、具体化させていくことが大事です。 ――ジュンさんにも、騒動がありました。 戦争やテロ、原発事故、津波が起こった現場を巡る中で、自分の無能さやむなしさを感じてきました。自分自身が無能でできないことが多いということも知りました。それでもわずかですが、自分にしかできないことがあるということも知りました。 家族、友人、親戚、第三者、メディア、観衆……。人間関係の問題は、いろいろな立ち位置の人の思いや考えがあり、問題などの解決は難しいです。自分のことはどうでもいいですが、大人が振り回してしまう子どもたちのことを一番に考えたいです。それは周りの皆さんにもお願いしたいことです。 ――今後は、どのように活動していきたいですか。 今は、能登に足を運んでいます。足りないものがあったら、充足できる人を連れていきます。悲しみを知る人たちとのつながりを作り続けていきます。課題は、だれかのせいにして終わりではなく、さまざまな問題を解決していきます。悲しみから学び、喜びの世界へ導けるように……。
キャンドル・ジュン
アーティスト、フィールドデザイン、ディレクター。1994年、キャンドル制作を始める。「灯す場所」にこだわり、様々な分野で空間演出を手がけ、「キャンドルデコレーション」というジャンルを確立。2001年、原爆の残り火とされる「平和の火」を広島で灯してから、「Candle Odyssey」と称し、悲しみの地を巡る旅を始めた。11年、東日本大震災を受けて「一般社団法人LOVE FOR NIPPON」を発足し支援活動を始める。月命日の11日には、毎月福島各地でキャンドルナイトを行い、3月11日には「SONG OF THE EARTH 311 FUKUSHIMA」を開催している。