玉木氏の不倫騒動で注目、すぐに観光大使は「クビ」にできない? 11月施行「フリーランス新法」のポイント
●フリーランスを中途解除する場合は「事前予告する」義務あり
そして、フリーランスを中途解約する場合には事前予告する義務もあり、これが今回問題になりそうな規定です。観光大使には報酬が支払われないということなので、フリーランス新法の対象となる「業務委託」に該当しないとも考えられますが、該当するという前提で今回解説します。 仕事を発注する事業者は、フリーランスに6カ月以上の期間で業務委託をしている場合、その契約を解除するためには、少なくとも30日前までに予告しなければなりません。即時解除はできないわけです。 ちなみに、この事前予告義務は、従業員を雇っていない個人事業主や一定の小規模の法人が発注者の場合は対象外ですが、もちろん高松市はこれらに該当しません。 ここで、「フリーランスに6カ月以上の期間で業務委託をしている場合」とは、実際に6カ月以上継続的にフリーランスに仕事を依頼している場合だけでなく、契約期間が6カ月以上である場合も含みます。 観光大使としての仕事を6カ月未満で依頼することは通常想定しづらいので、本件は、「フリーランスに6カ月以上の期間で業務委託をしている場合」に該当すると思われます。
●事前予告義務に例外はあるが・・・
ただ、この事前予告義務には例外事由があります。「災害などのやむを得ない事由がある場合」や「フリーランスに責めに帰すべき事由がある場合」には、事前予告は不要とされているのです。 ここで「不倫したのなら帰責性があるのでは?」と思われるかもしれませんが、フリーランスに少しでも帰責性があれば事前予告不要というわけではありません。 業務委託契約の内容などを考慮して、総合的に判断して、30日前の事前予告の保護を与える必要のない程度に重大または悪質なものであるかどうかで判断するとされています。 とはいえ、施行されたばかりの法律で、これまで即時解除の有効性が争われた事例もありません。ですので、高松市としては、事前予告せずに解除するのであれば、観光大使の女性に事前予告の保護を与える必要のない程度に重大または悪質といえる帰責事由が認められるのか、慎重な判断が求められます。