菅田将暉が驚いた黒沢清監督の独特な演出 参考にしたのはアラン・ドロンの犯罪映画
「表情や仕草についてではなく、黒沢監督は動線をまず決めてくれるんです。その動きがまた少し変わっていて。その動きに従っているうちに、吉井感が出てくることが自分でも感じられました。例えば、転売する商品をネットに出品し、売れ行きをパソコンの前で見ているシーンがあるんですが、画面に齧り付くわけでもなく、少し離れた場所に座って、じぃ~っと見つめている。その様子が不気味だし、どこか吉井の臆病な内面も感じさせる。そんな吉井だから、商品が売れても“よっしゃー!”とは喜ばないですよね。これが売れてもずっと幸せなわけではない。黒沢監督の演出のおかげで、吉井の日常感みたいなものを出せたように思います」
今年は映画『笑いのカイブツ』『劇場版 君と世界が終わる日に FINAL』が公開、配信ドラマ「寄生獣 -ザ・グレイ-」(Netflix)が配信。俳優業のほか、ミュージシャンとしてパリオリンピックに向けたフジテレビ系のアスリート応援ソング「くじら」を担当。同楽曲を含んだ3thアルバム「SPIN」を7月3日にリリースし、9月には自身初となるアリーナライブを開催する。吉井を取り巻く面々はストレスまみれの日々を送っているが、菅田自身は多忙なスケジュールの中でストレスをどう解消しているのか? 「20代のなかば、忙しさがピークだった頃に思ったのですが、仕事のストレスは仕事でしか解消できないし、プライベートのストレスもやはりプライベートでしか解消できないなと。お芝居のことが気になっていると、遊んだり、旅行したり、好きなものを買っても、悩みは解消されない。それで仕事上で好きなことをやって、気持ちのいい瞬間を見つけるようにしたんです。当時の僕にとっては音楽やラジオの仕事でした。そもそも楽な仕事はないので、ストレスは必ず溜まります。逃げ道として自由度のある仕事があれば、気分的にすごく楽になるんじゃないかと思います」