潘基文国連事務総長は海外でどう評価されているのか?
国連の潘基文事務総長の任期が、2016年末に終了するまで1年3カ月を切った。今年9月に中国で行われた抗日戦勝記念式典の軍事パレードに出席し、菅義偉官房長官が批判するなど、日本では何かと批判されることの多い潘基文氏だが、海外ではどのように評価されているのだろうか。米・ニューヨークの「世界連邦運動世界政策研究所」専務理事で、国際NGOが集う連合の代表として国連や安全保障理事会に政策提言を続けるウィリアム・ペイス氏に、国連に関わる世界の主要な国際NGOにおける潘基文事務総長の評価を聞いた。
人権や途上国の開発に実績
潘基文氏は2006年に安全保障理事会の勧告に基づき国連総会で国連事務総長に選ばれ、2007年1月に就任。2011年に再選されて2期目を務めている。ペイス氏は、潘事務総長の大きな功績として、人権や途上国の開発分野における実績を挙げる。 「潘氏は、2015年から2030年までの世界の貧困削減目標を定めた『持続可能な開発目標』の採択にリーダーシップを発揮しました。これは、過去20年間で最も成功した国家間交渉の一つです。虐殺などの人権侵害や国際人道法違反の行為に対し、国連が即座に対応できる態勢をつくった『the Human Rights Up Front(人権を最優先に)』の採択を潘基文氏がリードしたことについても、強く賞賛したい。破綻国家における文民保護の『保護する責任』といった、とても重要で多くの議論のあった課題に対しても、強い支援を行ってくれたといえます。潘氏は、国連が果たすべき役割の3つの柱である『平和と安全、人権、開発』それぞれの分野について、十分な遺産を残すでしょう」 潘事務総長の国連の組織運営については、「潘氏に最も近くで接していた人たちの話では、潘氏が国連組織を適切に運営できるようになるまで2年かそれ以上の時間がかかった」としながらも、「国連人権高等弁務官の任命過程は能力と人格に基づいていた。潘事務総長ついて、深刻な不正や汚職の申し立てもないと認識している。今日の世界で、これは特筆すべきこと」と、人事や職務上の不正をしていないことを高く評価する。