バイデン政権、中国EVなど主要分野に関税賦課の方向-関係者
(ブルームバーグ): バイデン米政権は、来週にも中国への関税を巡り広範な決定を発表する方向だ。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。主要な戦略セクターを新たな関税の標的とする一方、トランプ前大統領が視野に入れるような一律の追加関税は見送られる見通しだ。
今回の決定は、トランプ前政権下で発動された通商法301条に基づく関税の見直しの集大成となる。新たな関税は電気自動車(EV)やバッテリー、太陽電池などの産業に焦点を絞り、既存の関税はおおむね維持される見込みだ。関係者のうち2人によると、14日に発表される予定。
決定が先送りされる可能性もあるが、それでも中国との経済競争でのバイデン政権の最大の動きの一つを示すことになる。
アバディーンの投資ディレクター、シンヤオ・ヌン氏は「潜在的なエクスポージャーを持つ株式銘柄に対し、投資家は二の足を踏むことになるだろう」と分析。電池大手の寧徳時代新能源科技(CATL)など多くのグリーンテクノロジーブランドはすでに米国でのエクスポージャーを制限しているとも指摘し、「それがリスクであることは誰でも知っている」と語る。
中国の景気減速に歯止めをかけるため、製造業をてこ入れするという習近平国家主席の戦略は、海外で警戒感を招いている。米国や欧州連合(EU)の首脳らは、中国の行き過ぎた補助金で安価な製品が大量に輸出され、雇用が脅かされていると中国に警告している。
バイデン大統領は先月、米国は中国の「不公平な経済慣行と製造業の過剰生産能力」に立ち向かっていると指摘。「私は中国との闘いを求めているのではない。私は競争を求めているが、それは公平な競争だ」と述べていた。
影響薄か
中国EV大手の多くは自動車関税によって米国市場から締め出される形となっており、新たに関税が導入されても中国企業に直ちに影響が及ぶことはほとんどない可能性もある。太陽光発電企業は規制を回避するため、第三国から米国に輸出することが多く、米企業はこうした貿易にも高関税を求めている。