異次元の寿命。数千年使える炭素14ダイヤモンド電池とは?
「長持ち」の概念が変わる。 時計やリモコン、電卓、懐中電灯、マウスなど、電池って「なんで今?」という最悪のタイミングで切れたりしません? そんなことが二度となくなる、現在の「長持ち」という感覚をはるかに超えて、何世代、何百年、数千年にわたって持続する電池があったら?
永遠の電池、炭素14ダイヤモンド電池開発
ブリストル大学とイギリス原子力公社(UKAEA)の研究者たちが、びっくり仰天の寿命を持つ世界初の「炭素14ダイヤモンド電池」を開発しました。 ブリストル大学が12月4日に発表した声明によると、この電池は、有機物の年代測定によく使われる放射性同位体である炭素14の崩壊を利用しています。 この革新的なデザインにより、環境負荷が小さい電力を数千年にわたって供給できる可能性があります。体内で使用する機器や、地球から数百光年離れた宇宙空間など、あらゆる場所での利用が期待されます。 UKAEAでトリチウム燃料サイクル部門のディレクターを務めるSarah Clark氏は、次のように述べています。 「ダイヤモンド電池は、安全かつ持続可能な方法で、継続的にマイクロワットレベルの電力を供給できます。この技術は、少量の炭素14を人工ダイヤモンドで安全に閉じ込める先進技術です。」
まさかの放射性崩壊の利用
炭素14のような放射性同位体は、より安定した元素に崩壊する際にエネルギーを放出する不安定な原子です。ダイヤモンド電池は、炭素14が崩壊する過程で放出する電子を捕捉して、低レベルの安定した電力を生み出すそうです。太陽光パネルが光を電気に変換するのと似ています。 UKAEAの上席工程技師であるEseosa Ekanem氏は、UKAEAの動画の中で次のように話しています。 「私たちは、大気圧よりも低い圧力でダイヤモンドの薄い層を作ろうとしています。そして、電子が半導体であるダイヤモンドを通過するときに電気と電力が生まれます。」 半導体は、特定の条件下で電気を伝導する性質を持っているといいます。 炭素14の半減期は5,730年。つまり、この期間が経過すると、元の量の半分だけ崩壊して、残りの半分は引き続きエネルギーを生産できるということです。これだけでも炭素14ダイヤモンド電池がどれほど長持ちするか、おおよその見当がつくのではないでしょうか。逆にそんなに長持ちする必要あるのかと思っちゃいそうですけど。