なぜ?中国で相次ぐ“無差別殺傷”専門家は「五失人員」の存在を指摘【風をよむ・サンデーモーニング】
拓殖大学 富坂聰 教授 「中国はすごく急速に発展してきたが、過当競争という中で、パイが急速にしぼんでしまった時に落ちこぼれる人がいっぱい出てくる。未来に期待が持てないので、社会に強い恨みを持つ。非常に極端なことをする人が出てくる。そういうものを背景にして、今、『五失人員』というキーワードがある」 「五失人員」とは、▼投資の失敗、▼生活面での挫折、▼情緒不安定、▼人間関係の不和、▼精神的な疾患などを経験した人を指すといわれます。 富坂教授によれば、当局も、数年前から、こうした人々が社会不安の要因であり、事件発生のリスクになるとして警戒してきたといいます。 「社会への報復」と呼ばれる事件が相次いでいるとして、感想を求められた中国外務省の報道官は... 中国外務省 林剣 報道官 「中国政府は常に、そして引き続き有効的な措置を講じ、全力をあげて人民の生命の安全と社会の安定を保障する」 さらに、当局はSNSを駆使する若者たちに不満が広がることを警戒しているとも富坂教授はいいます。 ■“約20万人でサイクリング”集団行動のきっかけはSNS 若者の不満や不安とは SNSの動画には、自転車に乗った若者たちが道路を埋め尽くしています。 きっかけは6月に河南省の大学生が深夜にサイクリングをして、「肉まん」を食べる動画をSNSに投稿。それが瞬く間に学生らに拡散しました。 「肉まん」は習主席を揶揄するあだ名の一つと言われますが、結びつきがあるかどうかは定かではありません。 当初は国営メディアも「大学生の間でブーム」などと好意的に報じました。 しかし8日から9日には、ついにその数が20万人に膨れあがり、中には「私が求めているのは本物の愛と“自由”だ」と書かれた旗を掲げて走る若者も現れ、当局も規制に乗り出しました。 こうした集団行動の背景に、若者たちの不安や不満の高まりがあると富坂さんはいいます。 拓殖大学 富坂聰 教授 「不満のレベルは少しずつ上がってきている。大卒の仕事がない。大学を出たのに、大学を出なくても就ける職業しかない。自転車の件も、SNSで発信されてくると伝播力はすごい。ある種の不満の反映。中国はとにかく大人数が集まることをものすごく警戒する。世の中間違っているというスローガンにみんなが集約されていくことを(政府は)一番恐れている」
新たなフェーズへと、人々の不満が高まったという今の中国。社会への報復はこれからも続くのでしょうか。
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