錦織にとって、優勝した昨年６月のプエルトルコ・チャレンジャー以来、約１年５カ月ぶりの決勝進出だ。（※写真は10月の大会）。(C)Getty Images

　男子テニスの下部大会「HPPオープン」（11月４日～10日／フィンランド・ヘルシンキ／室内ハードコート／CH125）は大会６日目の現地９日にシングルス準決勝が行なわれ、度重なるケガからの完全復活を目指す元世界ランク４位の錦織圭（現132位）が登場。予選勝者のマックス・ハンス・レーベルク（ドイツ／同332位）を6-4、6-7(6、6-2で下し、チャレンジャー８度目の優勝に王手をかけた。 【動画】錦織がレーベルクを破った「HPPオープン」準決勝ハイライト 　前週出場した下部大会「スロバキア・オープン」（スロバキア・ブラチスラバ／室内ハード／CH125）で今季初のベスト４進出を果たした34歳の錦織。今大会はニコラス・アルバレス・バローナ（スペイン／同384位）、ジェローム・キム（スイス／同134位）、ジェイコブ・ファーンリー（イギリス／同94位）を破り、２週連続の４強入りを決めていた。 　準決勝では予選から快進撃を続けてきた21歳のレーベルクと対戦。錦織は第３ゲームで深いリターンから形を作り、相手を大きく左右に揺さぶって先にブレークに成功する。反対に自身のサービスゲームでは計５本のブレークポイントをセーブし、苦しみながらも第１セットを先取した。 　 　第２セットも錦織が第１ゲームでいきなりブレーク。だが２つ目のブレークを奪えなかったことが響き、サービング・フォー・ザ・マッチとなった第10ゲームで痛恨のブレークバックを喫してしまう。第12ゲームで３本のブレークおよびセットポイントを凌いで何とかタイブレークに持ち込んだ錦織だったが、6-5で迎えたマッチポイントを生かせず、逆転で１セットオールに持ち込まれた。 　それでも錦織は冷静だった。勝負のファイナルセットではレーベルクのプレーの質が落ちたことにも助けられ、第１ゲームから４ゲームを連取。第５ゲームでブレークを１つ返されたものの、第８ゲームで再び相手のサービスを破り、２時間41分の熱戦をものにした。 　復帰戦優勝を飾った昨年６月の「カリビアン・オープン」（プエルトリコ・パルマスデルマル／ハード／CH75）以来約１年５カ月ぶりの決勝進出を果たした錦織。日本時間10日20時以降に行なわれる決勝では、第５シードのルカ・ナルディ（イタリア／同102位）と対戦する。連戦続きのため体力面は心配だが、ここまで来たらぜひとも優勝で大会を締めくくってほしい。 文●中村光佑