レガシィ初登場! 第28回 東京モーターショー 1989 スバルとホンダといすゞ編|スバル レガシィ ツーリングワゴンやホンダのNS-Xが展示された平成最初のモーターショー
アメリカでブッシュ大統領が就任し、ドイツでベルリンの壁が崩壊したのが1989年だ。 衛星放送が始まり、ゲームボーイが発売されたのも1989年である。平成になった最初の年は自動車にとってもヴィンテージイヤーだった。 ビッグ2以外のメーカーも積極的に魅力的なニューカーを送り出している。道路関係では、横浜ベイブリッジが完成し、大黒ふ頭ジャンクションとつながったのが大きなニュースだ。 【画像9枚】ヴィンテージイヤーと呼ばれる1989年。平成に送り込まれたクルマたち NS-Xの日本初舞台だった1989年 ホンダ ホンダブースのハイライトはミッドシップのスポーツカー、NS-Xの展示である。2月にシカゴと東京でプロトタイプを発表したが、日本のファンの前での初舞台は、このショーだった。 技術の粋を集めたアルミボディは目の覚めるようなレッドで、ルーフの部分をブラックに塗り分けている。 「ニュースポーツカー・X」の略だから、ショーのときはNSとXの文字の間にハイフンが入っていた。 ホンダ NS-X ホンダが技術の粋を集めて開発したミッドシップのピュアスポーツカーだ。軽量化のためにサスペンションやフレームだけでなくボディまでもアルミ製とした。90年秋の市販時には3ℓのV型6気筒DOHC・VTECエンジンを積んでいる。 パワーユニットは新開発だ。可変バルブタイミング&リフト機構を組み込んだ3ℓの90度V型6気筒DOHC・VTECで、これに5速MTを組み合わせている。ちなみに4輪ともダブルウイッシュボーンのサスペンションもアルミ製の凝ったものだ。 セナ・プロ対決の立役者となったチャンピオンマシンも展示 NS-Xとともに注目を集めたのがマクラーレンMP4/5ホンダである。89年はターボが禁止になり、3.5ℓ自然吸気エンジンの最初の年だった。 チャンピオンを獲得したが、ショーの5日前に鈴鹿で行われた日本グランプリではアイルトン・セナとアラン・プロストが同士討ちを演じている。 だから多くの人が目を留めた。マシンの隣には、さり気なく開発中のV型12気筒エンジンが展示されていた。 量産車ではモデルチェンジしたばかりのアコード/アスコット、そして5気筒エンジンを積むインスパイア/ビガーが注目モデルだ。 スタイリッシュに生まれ変わった3代目のインテグラも熱い視線を集めている。また、アクティなどの軽商用車も元気がいい。 いすゞの見ごたえのある展示 いすゞ 今ではトラック、バスの専門メーカーとなったいすゞも見ごたえのある展示を行った。主役は、いすゞ時代に中村史郎さんがデザインを手がけた4200Rだ。ミッドシップ方式の洗練されたスポーツクーペで、車名から分かるように4.2ℓのV型8気筒DOHCエンジンを搭載する。ナビシステムやビデオデッキも注目の装備だ。 もう1台の760Xは、後のジェミニクーペである。提携を結んでいるゼネラルモーターズの要請で開発したコンパクトカーだ。北米ではGEOストームの名で発売されたが、売れ行きは今一歩にとどまった。 いすゞ 760X いすゞの主力ファミリーカーがジェミニだ。ショーに展示された760Xは、その3代目の最終プロトタイプ。日本ではジェミニクーペを名乗ったが、北米市場にはGEOストームの名で送り込まれた。いすゞ最後の乗用車だ。 1989年1月に発表され、東京モーターショーでは初展示となったレガシィ スバル 富士重工業を名乗っていたスバルも意欲的にコンセプトカーを送り出している。SRD1は、カリフォルニアのデザイン拠点である「スバル・リサーチ&デザイン」が手がけたワゴンのコンセプトカーだ。エンジンは3.3ℓの水平対向6気筒DOHCで、隣に展示したSVXにはディチューンして搭載した。駆動方式は電子制御アクティブトルクスプリット4WDである。ロングホイールベースの採用と相まってキャビンは驚くほど広い。 SVXは、後のアルシオーネSVXだ。鬼才ジウジアーロがデザインした4WDのプレミアムスポーツクーペで、時間をかけて開発していたから完成度は飛び抜けて高い。ホワイトのレザーインテリアもぜいを尽くした造りだった。エンジンは後に「EG33型」と呼ばれる3.3ℓの水平対向DOHCを積み、これに4速ATを組み合わせた。 量産車の主役は、1月にデビューしたレガシィである。レオーネに代わるスバルのエースモデルだから、ショー会場にも大きなスペースが与えられていた。FF車もあるが、主役は道を選ばないフルタイム4WDだ。ショー直前にDOHCターボを積むGTを加えたツーリングワゴンの人気が上昇している。だからワゴンを見るためにブースを訪れる人が多かった。 もう1台、見逃せないのが、流麗なスーパースポーツカーのジオット・キャスピタである。ジオットはワコールが出資して設立した会社で、開発を行ったのはレーシングコンストラクターの童夢だ。ドライバーの背後に、F1用にスバルとモトールモデルニが開発した3.5ℓの水平対向12気筒DOHC60バルブエンジンを積む。 ジオット キャスピタ 京都に本拠を構える童夢が開発を担当し、ワコールが設立したジオットが送り出したキャスピタ。グループCカーと同じ手法で設計され、シャシーはカーボン、心臓はスバルの水平対向12気筒だ。
Nosweb 編集部
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