2024年に注目すべき「 メディア 」をめぐる5つのトレンド
ジェネレーティブAI
広告にまつわるAIの話題は昨年で聞き納めとはならないだろう。チャットボットからAIプラットフォームの内製化まで、エージェンシーとクライアントの別を問わず、誰もがジェネレーティブAIの実験や新たな可能性の模索を貪欲に続けるだろう。2023年は、コンテンツ制作のツール、キャンペーンの最適化、企業内のトレーニングおよびエンゲージメントなどの分野でAIの活用が見られた。 2024年も各社が専門性の確立を追求して、AI関連の試験運用や投資に邁進するものと予想される。また、AIが制作したメディアについては、ブランドセーフティ、透明性、情報開示も進展するものと思われる。 デジタルメディア企業のデジタルレメディ(Digital Remedy)で最高収益責任者を務めるジェレミー・ハフト氏は、「プログラマティック広告のサプライチェーンを構成する各サプライヤーでジェネレーティブAIがさらに普及し、パフォーマンスの遅れや広告費の無駄が削減される一方、業務の効率化が進むだろう」と期待を寄せる。「最新のAIツールを活用すれば、ブランドが持つ知見をもっと柔軟な方法で検索し、標準的な機械学習ではできなかった方法でこの知見を活用できるようになるはずだ」。
コマースメディア/リテールメディアネットワーク
グループエムのスコット=ドーキンス氏によると、メディア領域で最速の成長を遂げている新分野はリテールメディアネットワーク(RMN)で、2023年には10%近く成長して1190億ドル(約16兆8000億円)に達すると推定されるという。2024年にはさらに8.3%成長して1200億ドル(約16兆9000億円)を突破すると同氏は予想する。2023年を見る限り、新規参入の勢いが衰えることはなく、ユナイテッド(United)、ダラーゼネラル(Dollar General)、マイクロソフト、チューイー(Chewy)らが相次いで参入した。 大手RMNのひとつであるアルバートソンズメディアコレクティブ(Albertsons Media Collective)のクリスティ・アージラン氏は、「リテールメディア領域の効果測定の標準化や用語の統一が急務だ」と指摘する。実際、IABを含む業界団体はすでに標準化に向けた作業を進めているようだ。 一方、オムニコム(Omnicom)やIPGを含むメガエージェンシーは、コマースメディアやリテールメディア領域の人材確保に動きだしている。さらに、独立系のエージェンシーや小規模なホールディングスも相次いでこの分野に進出し、DSPはプログラマティック商品の提案を通じてRMN市場のシェア争いに参戦している。