「海のはじまり」村瀬Pが語る、俳優・目黒蓮の成長「今までの彼にはなかった表情を」
──有村さんは、壮絶な過去を抱える弥生を丁寧に演じていらっしゃいます。 「弥生は本当に難しい役で、有村さんは苦しみながら演じられています。僕によく、セリフの意味や弥生の心情を聞いてきてくださって、たくさんディスカッションをしながら長い時間をかけて役を落とし込んでいくという作業をされています。とても真摯(しんし)に役と向き合いながら、嫌われかねない役をしっかりと丁寧に演じてくださっています。一方で、夏と2人でいるときに見せる、恋する女の子のかわいさの表現もすごく上手ですよね」
──古川さん演じる水季も、とても魅力的なキャラクターです。 「捉えようがないけど心(しん)が強く、男女問わず翻弄(ほんろう)されるような不思議なキャラクターの水季役をとても魅力的に演じてくださっています。古川さんでないと、水季役は成立しなかったと思いますね。実は、古川さんにオファーした時点では、まだ100%決定できていたわけではなかったのですが、生方さんはすでに古川さんをイメージして水季を書き進められていて。なので、結果的に当て書きに近い形になったんだと思います」
登場人物たちのつながりを生方さんが見事に紡いでくださっているので、最終回の12話まで見届けてほしい
──これまでの放送で、特に印象に残っているシーンについてお伺いできますでしょうか。 「一番衝撃だったのは、7話で津野くん(池松)が水季の訃報を受けるシーン。これは本当に想像を超えるものでした。電話を受けた表情だけで慟哭(どうこく)を表現していたし、あのワンシーンで、津野くんが抱えていたものが見ている方に全部伝わったと思います。津野くんは、水季に残された時間が少ないと分かっている中で、朱音さんからの着信の振動だけで何かを感じ、確信を持って電話に出ているんですよね。実は、あのシーンは台本上では『はい』というセリフで終わりだったのですが、その後の芝居があまりにも良かったので全部残したんです。6話で、夏に対して『僕の方が悲しい自信があります』と言った理由が、この電話のシーンで全て分かるようになっていました。これまでたくさんの役者さんの芝居を見てきましたが、池松さんの芝居には本当に驚かされます。僕は、脚本を読んで自分なりに解釈をして、こういう芝居で来るだろう…と、ある程度予想しながらプロデュースをしているのですが、池松さんの芝居は、想像の向こう側にあるもっと深いものを教えてくれています」