トランプ氏勝利で国を出ると話す米国人たち、海外移住への関心が急上昇
「少なくとも、私たちは努力したとわかるだろう」
先のマクマホンさんほど他の人たちはまだ具体的な計画を立てていないが、米国を離れる緊急性を感じている。 共和党支持の州に住むある黒人女性は、今米国で暮らすのは「沸騰しつつある鍋の中のカニになった気分だ」と話す。 元連邦法執行機関の女性は、11月6日に目覚めたとき、夫に向かって「(国を)出よう」と言ったという。 民主党員で2児の母であるこの女性は23年に出国することを考え始めた。最高裁が大学入試におけるアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)を骨抜きにした後のことだ。そして大統領選が転機となった。 女性は「トランプ氏が当選したら、全力で(出国を)進めることになると分かっていた」と話す。 40代のアフリカ系米国人のこの女性は、アファーマティブ・アクションをめぐる決定は「アフリカ系米国人が平等で、人種差別は終わり、偏見はなくなったかのように思わせる。しかし、それは事実ではない」と語った。 「物事がよくなり始めたように思えたのに、一歩前進して二歩後退しているようだ」といら立ちを募らせる。 この家族は、選挙が無視できないほど後退しているように感じている。 女性の子こどたちは、選挙直後は出国に賛成しなかった。その後、子どもの一人が、選挙後に全国の黒人に送られた奴隷制に言及した人種差別的なテキストメッセージを友人が受け取ったことを聞いた。子どもはおびえ、両親がなぜ出国したいと考えているのかを理解した。 女性はフランスやオランダ、ポルトガル、スペインのビザ要件を調べ始めたところだ。 民主党のハリス氏とウォルズ氏の候補が勝っていたら「絶対に」米国にとどまっていたが、ビザが下りさえすれば、夏までには家族で米国を離れる予定だという 「私たちは解決策を見つけるつもりだ。もしうまくいかなければ、戻ってくる。市民権を放棄しているわけではない。少なくとも、努力したことはわかるだろう」 女性は今、米国にとどまるのは耐えられないと感じている。