タイに渡って大麻農家になった男の挑戦。「堂々と大麻を栽培して吸うのが夢だった」
渡航1年で大麻コンテスト最優秀賞に
こうして手塩にかけて育てられたdoscoiさんの大麻は、タイ在住の日本人だけでなく、欧米の旅行客からも大好評。 昨年11月にバンコクで行われた大麻コンテストでは、客が選んだ最優秀作品の1位に選ばれた。 「来場者から『吸ったときにむせない』『のどにつっかえない感じがイイ!』と評価してもらえました。実は、僕もそこを狙って作っているので。うれしかったです」 月の売り上げは、観光客が多く集まる乾季だと50万バーツ(約225万円)にも上る。ただ、経済成長著しいタイでは物価も高騰している。 電気代は日本より割高で毎月8万バーツ(36万円)もかかり、総経費は30万バーツに上る。 「今、タイには世界中から大麻で一攫千金を狙おうと腕利きの大麻農家が進出していて、競争も激化。そもそも供給過多で、相場も値崩れしています。そんな中で戦えているのは、いろんな人に恵まれてこそ」 長く伸びたあごひげを触りながら、doscoiさんは今日一番の笑顔を見せてそう話してくれた。
「自由に大麻栽培したい」同じ思いの後進支援へ
楽な稼業ではないようだが、doscoiさんを5人のスタッフがサポートする。そのうち1人は、ミャンマーの山岳民族の女性だ。 「彼女には、給与の半分を家族に仕送りできるほどの報酬を支払えています。ミャンマー出身者は、タイでは給与の安い仕事ばかり回される。大麻産業が、こうした人たちの雇用の場となっているんです」 doscoiさんは10月、日本人の栽培者やショップ店員の育成やビザ、ライセンス取得の支援を目的とした協会を立ち上げた。 大麻に関心がありながら、法規制でがんじがらめとなっている“かつての自分”のような日本人のタイ進出を応援したいという思いからだ。 「非合法の日本では、押し入れで育てたり、吸うにしてもこっそりとやらなくてはいけない。過去の自分もそんな鬱屈した思いをしてきたので、タイで大麻を仕事にして、解放的に楽しんでもらいたいんです」 法律の埒外での生き方ながら、自身の信じた道をひたむきに歩むdoscoiさん。日本で磨いた農業スキルを武器に、バンコクでの快進撃は続く。