前橋育英GK・藤原優希、絶体絶命のPK止め「あとは上まで突き進むだけ」【全国高校サッカー】
◇31日 第103回全国高校サッカー選手権大会2回戦 前橋育英2―2(PK6―5)愛工大名電(駒沢陸上競技場) 前回涙をのんだ2回戦をPK戦の末に突破し、前橋育英が16強に進出した。ヒーローとなったGK藤原優希(3年)は「去年のチームを超えたからにはあとは上まで突き進むだけ。このまま国立目指して頑張ります」と胸を張った。 前半2点を先制したが、試合終盤に流れが一変。後半21分に1点差に詰め寄られると、追加タイム1分にPKで同点に追いつかれてしまう。 迎えたPK戦では1人目を任された主将のMF石井陽(3年)が失敗。窮地に立つ中で、石井は「PK戦はおまえがキャプテンだぞという意味で託した」と、守護神の腕に自分が付けていた腕章を巻いた。 藤原は「(石井が)『外してごめん』と謝ってきたので、もう絶対自分が止めて勝ってやる」と奮い立ったという。 そして、迎えた愛工大名電8人目だった。藤原は「真ん中は捨てていたので、左右どちらかに飛ぼうと思っていた」と、右に横っ跳びでセーブ。止めた瞬間は「一瞬頭が真っ白になった」と言い、仲間からの手荒い祝福でわれに返って喜びをかみ締めた。 試合後、石井は藤原に「ありがとう」と伝え、こう思いを強くした。 「次の試合では、藤原にシュートストップさせないぐらい体を張ってシュートを打たせないところで恩返ししたい」 薄氷を踏む勝利となったが、仲間との絆を深めた前橋育英が2度目の全国制覇へと突き進む。
中日スポーツ