秋バテの原因は夏に体を冷やしすぎたこと 医師が勧める回復法、温かい食事にゆっくり入浴、3つ目は?
日本は毎夏、暑さの記録を更新していますが、この先どうなっていくんでしょう。むかし日本は「温帯地方」と習いましたが、今では絶対「亜熱帯」ですよね。10月にようやく涼しくなるそうですが、そうなると毎年のように、私は「秋バテにご注意!」と言ってます。夏バテは盛夏だけにおこるものではありません、臨床の現場ではむしろ猛暑が終わった初秋に多く見られます。夏の間に体を冷やし過ぎたことが原因です。 夏バテは寒暖の差が激しいことで起こります。冷房の効いた室内と暑い屋外を出たり入ったりするのが、いちばん夏バテになりやすいのです。秋と時はいえオフィスではまだまだ冷房が効いていますし、外気温も不安定で体調管理が難しく、空気が爽やかになる反面、冬に向けて気持ちが暗くなるのもこの季節。痛みを伴うわけでもなく、寝込むほどの重症感もなく、何となく体調がすぐれない。これが秋バテです。真夏に冷たいものばかり飲んだり食べたり、ずっと冷房の効いた室内にいた人は、新陳代謝が低下しています。冷たいものをたくさん飲むと、胃液が薄まり、食欲不振や消化不良の原因になります。 予防法はまず、弱った胃腸の働きを整えるため、温かい食事を良く噛んでゆっくり食べること。これからは冬の寒さに備える季節です。毎日の生活習慣に少し気をつけるだけで秋バテは予防できます。体を温めてくれる根菜がおすすめです。 新陳代謝の低下の原因は自律神経の乱れです。私のお奨めは、ぬるめのお風呂でゆっくり体を温め、そして大切なのは、その後すぐに布団に入ること。入浴後まだ身体が温かいうちに、サッと寝床に入ってしまう。風呂から出てゴソゴソせずに、さっさと体を拭いてパジャマに着替えて、身体が冷める前に睡眠モードに入ることで、疲れを取る深い眠りがとれます。 そのためには、入浴のタイミングを1日の最後に持ってくるために、生活サイクルを変える必要がありますが、ちょっとしたことの積み重ねで健康は維持できるものです。旬の食べ物を食し、ゆっくり風呂でリラックスし、自然を楽しんだり、そんな些細なことの積み重ねで健康を維持しましょう。 ◆松本浩彦(まつもと・ひろひこ)芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。