国境なき医師団の日本人男性 「医療システムが完全に崩壊している」 ガザ地区戦闘開始から来月で1年
日テレNEWS NNN
パレスチナ自治区ガザ地区での戦闘が始まって来月で1年となります。現地で医療支援活動を指揮する日本人男性が取材に応じ、「医療システムが完全に崩壊している」と語りました。 ガザ地区では今月11日、中部ヌセイラトの避難所となっている学校がイスラエル軍に空爆され、国連によりますと職員6人を含む少なくとも18人が死亡しました。 “人道エリア”も攻撃を受ける中、先月からガザ地区の南部などで医療支援活動を指揮する国境なき医師団の萩原健さん(57)がNNNの取材に応じました。 萩原さん 「現地の状況は想像以上でした。過去いろんな紛争地での活動を経験しているが、(街の)破壊のスケールはここまでなんだなと」「基本的な医療システムがほぼ完全に崩壊している」 萩原さんは現在、2つの基幹病院への支援を指揮していますが、医療物資や機器の不足も深刻だといいます。 萩原さん 「慢性疾患の患者が医薬品へのアクセスがない。危機的なのは集中医療。キャパシティーに対してそれ以上のニーズがあると、どうしてもキャパシティーが追いつかない。医療関係者は非常に難しい判断を迫られる」 現地では戦闘が激しいエリアから避難者が押し寄せ、飲料水を手に入れることもままならない状況で、物価も高騰しているといいます。萩原さんには印象に残った言葉がありました。 萩原さん 「『きょうは1日、停戦に近づいた』という言葉がありまして。停戦がいつになるか分からない。そういった中で、きょうは1日生き延びて停戦に1日近づいたと…」 イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦交渉をめぐっては、アメリカなど関係国が仲介に乗り出していますが、双方の意見の隔たりは大きく暗礁に乗り上げています。