JCT分岐したら“来た道へ戻ってる…!?” 新名神の「珍構造JCT」 合理的だけど「まさかその方向へ…」
新名神本線の開通から半年遅れで登場した「連絡ランプ」
新名神高速の三重県内は、2019年に「新四日市-亀山西JCT」が開通。並行する東名阪道の四日市JCT-亀山JCTから交通が分散し、東西の大動脈となりました。 【同じJCTを2回通る!?】新名神の“珍構造JCT”(地図/画像) この亀山西JCT、ちょっと特殊な構造をしています。JCTの分岐次第で容易に「来た道へ戻ってしまう」のです。 亀山西JCTはもともと、新名神の本線(新四日市-亀山西JCT)と亀山支線(亀山JCT-亀山西JCT)が「V」字に合流するポイントでしたが、本線の開通から9か月後の2019年12月に“フル化”。新名神の下り(大阪方面)から東名阪道へ、東名阪道の上り(名古屋方面)から新名神の上り(名古屋方面)へといった行き来が可能になりました。 ただ、この行き来をする「名古屋・伊勢ランプウェイ」は、実質的には「Uターン路」なのです。 ランプだけの連絡ではなく、いったん本線を介するため、新名神の名古屋方面から東名阪道へ行こうとして分岐を間違えると、来た道を戻ってしまう構造になっています。 もちろんカラー舗装や色付きの矢印標識などでルートは明示しているものの、たとえば東名阪道から新名神で名古屋方面へ向かう場合、亀山JCTで「京都 大阪」方面へ分岐してから、亀山西JCTのUターン路を使って「名古屋」方面へ分岐することになります。構造を客観的に理解していないと分かりづらいのか、ネット上では困惑の声も見られます。
あるとないとじゃ大違い! なUターン路
亀山西JCTは「V」字の3方向の先にそれぞれトンネルが存在するため、「V」を「△」にするのは難しそうです。そのため、「V」の合流点から次のトンネルまでのわずかな区間に、ループ状のUターン路を建設することで3方向の行き来を可能にしています。 もともと「V」だけだった亀山西JCTをフル化したのは、地元の強い要望がありました。 東名阪道は亀山JCTの南で、新名神と並ぶ東西の大動脈「名阪国道」に通じています。東名阪道が通行止めになると、名阪国道方面の交通は一般道へ迂回せざるを得ず、周辺が大渋滞になっていたといいます。このため、亀山西JCTをフル化することで、新名神と東名阪道の相互迂回を可能にすることを求めていました。 実際、東名阪道は新名神の開通後も、名阪国道の交通を引き受けるため交通量が多く、渋滞することがあります。新名神の開通前に渋滞対策として、一部区間の路肩を潰して暫定的に片側3車線化していますが、新名神の開通後も、ここは2車線に戻していません。 開通から年月が経過した東名阪道はリニューアル工事も増えており、NEXCO中日本も新名神がその迂回路として使えることをアピールしています。四日市JCT-亀山JCT間を新名神(亀山西JCT)経由で迂回しても同料金だと、東名阪道の横断幕などでアピールしています。 ちなみに、亀山西JCTと同様の「Uターンランプ」は現在、宮城県の仙台北部道路と東北道が交わる富谷JCTでも新設工事が行われています。ハーフJCTをフル化する方法としては合理的なのかもしれません。
乗りものニュース編集部