第2次トランプ政権に女性たちが悲鳴。子育て支援サポートに「強く反対」、「祖父母に協力を求めればいい」発言で炎上
「彼らに女性の運命を左右する力を与えてはいけない」──アメリカで11月に行われた大統領選で敗北した民主党の候補、カマラ・ハリス副大統領は選挙活動中、ミシェル・オバマ元大統領夫人とともに、そう強く訴えていた。 【写真】なぜ今、中絶 を「禁止」するのか? 分断されるアメリカで、中絶を"選べない"女性たち 「彼ら」とはもちろん、(次期大統領となった共和党の)ドナルド・トランプをはじめとする保守派のこと。ハリス副大統領はあるときのスピーチを、次のように締めくくっていた。 「どうか、どうか私たちの運命を、トランプのような人たちの手に委ねないでください──私たちのことを何ひとつ理解せず、私たちを心から蔑視している人たちです」 副大統領がそう主張したとおり、第2次トランプ政権は女性の体だけでなく、イデオロギー(価値観)にまで影響を及ぼす危険性がある。そして、そうした影響はアメリカにとどまることなく、世界中に広がっていく可能性がある。 具体的には、次の4つの面において起こりうる変化への懸念が高まっている。
1.中絶の自由と権利
トランプの大統領就任によって中絶が禁止される可能性が大幅に高まった今、難解で厳しい規制や訴追される心配を理由に、女性の命を救うための処置をためらう医師が増えるとみられている。それは、より多くの女性たちの死と、トラウマの苦しみをもたらしうる。 連邦最高裁判所が2022年、1973年に示していた「人工妊娠中絶の権利は合憲」とする判断(ロー対ウェイド判決)を覆して以来、アメリカでは21の州が中絶をほぼ全面的に禁止、または規制を大幅に強化している。 トランプがこの恐ろしい現実を容認するだけでなく、各州がそれぞれ独自に行っているこれらの規制を、全米で行うものに引き上げる可能性も否定できない。今のところ、この問題についての自身の考えを明確にしていないトランプだが、ロー対ウェイド判決が覆されたことは「勝利」だと繰り返し述べており、「素晴らしいこと」だと発言したこともある。
2.育児への支援
中絶が不可能な状況が現実味を帯びるなかで、子育てにかかる高額の費用(アメリカは、世界で最も育児に費用がかかる国のひとつ)が、ますます懸念されている。 法外といえるまでに高騰した子育て費用について、次期副大統領となるJ・D・ヴァンスは以前、「祖父母に協力を求めればいい」と発言し、批判された過去も。 このときのヴァンスのコメントを、単なる冗談と思った人もいたかもしれない。だが、そうではない。ヴァンスは一貫して、子育て支援の拡充や、現状以上の手厚いサポートを実現させることに強く反対してきた。それは、法案に対する彼の投票記録によっても裏付けられている。 いっぽう、ヴァンスは2023年、仕事を休んで子どもの世話をする女性たちに経済的なインセンティブを提供するための法案を、自ら議会に提出している。また、所得にかかわらず全世帯を対象に、子どもひとり当たり5000ドル(約76万円)の税額控除を行うことを提案している。それにもかかわらず、2024年8月に行われた「子ども税額控除」に関する法案の採決を欠席し、論争を引き起こした。