COP28 で浮き彫りになった、ファッション界の「持続可能性3.0」とエネルギーへの投資
再生可能エネルギーへの投資
12月5日、H&M、グローバル・ファッション・アジェンダ、デンマークの株式非公開企業ベストセラー(Bestseller)は、エネルギー企業のコペンハーゲン・インフラストラクチャー・パートナーズ(Copenhagen Infrastructure Partners)およびサミットパワー(Summit Power)と提携し、バングラデシュ初の洋上風力発電所への投資を発表した。承認されれば、この発電所は2028年に運転を開始し、500メガワットの電力を供給する予定だ。ベストセラーの財政的支援は1億ドル(約145.5億円)だが、H&Mは支援額を明らかにしていない。 グローバル・ファッション・アジェンダのインパクトプログラムおよび持続可能性担当ディレクターであるホリー・サイレット氏は次のように述べた。「ファッション業界は、気候変動対策や再生可能エネルギー対策にどのように貢献できるかを見きわめ、生産国に対して責任を持たなくてはならない」。 ベストセラーの持続可能性責任者ドルテ・ライ・オルセン氏は「再生可能エネルギーを通じて送電網にシステム的な変化をもたらす必要があると確信している。なぜなら、それがまったく実現していない多くの国々と仕事をしてきたからだ」と語る。「株式投資なので多少の見返りはあるだろう。だが、優先事項は、既存のエネルギー源と競争力のある、手頃な価格の再生可能エネルギーを送電網に供給することだ」。 H&Mは、野心的なエネルギー目標の一環として、再生可能エネルギーに多額の投資を行っている。H&Mグループのグリーン投資責任者であるウルリカ・レヴェレンツ氏は次のように言う。「再生可能エネルギー開発業者との長期的なパートナーシップの締結は、2030年までに当社の事業とサプライチェーンにて100%再生可能電力を使用するという目標に向けた取り組みの一例である。これは、新しい太陽光発電所と風力発電所の両方から、送電網に新しい再生可能電力を追加できるようにすることを意味している」。 「世界的にみると、バングラデシュ国内では衣料品や繊維製品の製造が非常に重要なので、繊維製品製造部門にとって(これらのプロジェクトの実施は)有益である。したがって送電網に入るだけでも、その電力のかなりの量がそれらの施設に行き着くことになる」と、森林伐採と繊維リサイクルの非営利団体キャノピー(Canopy)の創設者でエグゼクティブディレクターのニコール・ライクロフト氏は述べた。同団体は、ZARA、Reformation(リフォーメーション)、LVMHを含む500社以上のファッション企業と提携している。