ペアローンの典型的破綻事例と、別れた夫の手助けなしでも家を残せた稀有なケースを銀行員が報告
ペアローンとは?
そもそもペアローンとは、夫婦・パートナー同士でそれぞれローンを組み、合計して一つの土地や家、マンションを購入することです。親子や婚約者でペアローンが組まれる場合もあります。 文字で説明する前に、まずは算数・数学の問題的な表現で考えてみましょう。 <住宅ローンの借り方~1億円の家を買うとき> ・「Cさんが1億円借り、保証会社か連帯保証人を付ける」:よくあるローン・「CさんとDさんが2人で1契約・1億円のローンを借りる」:連帯債務・「Cさんが1億円借り、Dさんは収入面でサポート」:収入合算(連帯保証)・「Cさんが5千万円借り、Dさんも5千万円借りる」:ペアローン 1つの物件に対し「夫婦・パートナー同士が、それぞれ契約者として住宅ローンを組む」ので、ペアローンの住宅ローン契約は2つになります。 なお、「1つのローンで債務者が2人」の連帯債務では、住宅ローン契約はあくまでも1つとなります。ここがペアローンとの違いです(細かな違いや収入合算についてなどは記事のテーマから離れるので省略します)。 今や、3割がペアローン! 記憶する限り、ここ10年くらいでペアローンは社会へ浸透していきました。 私が銀行に入社(約30年前のバブル期)する以前から最近まで、「夫の年収で住宅ローンを借りる。妻の収入を合算することもある」といった形が、住宅ローンのモデルケースでした。ペアローンは住宅ローンとしては新しいカタチの一つで、登場してから増加し続けています。 近年は特に高い水準で推移しており、2018年から2022年までの5年間、ローン契約全体の3割がペアローンです【参考(2)】。 また、ペアローンは若いほど利用率が高く、20~29歳の年齢層は21%で、全体平均値9%の2倍以上となっています【参考(3)】。 ペアローンの増加は共働き世帯の増加と足並みをそろえており、この傾向は今後も続いていくことでしょう。 【参考➁】リクルート/SUUMOリサーチセンター/2022年首都圏新築マンション契約者動向調査 【参考(3)】三井住友トラスト・資産のミライ研究所/2022年/住まいと資産形成に関する意識と実態調査