緊張高まる韓半島、ウクライナ特使団が訪韓した日…ロシア、中国と連合KADIZ無断進入(1)
29日、ロシアが中国と連合して軍用機で韓国防空識別圏(KADIZ)を無断進入した。中ロ軍用機が共にKADIZに入ったのは約1年ぶりであり、ウクライナ大統領特使団が訪韓した直後という点で、韓国に圧力を加えようというロシアの意図があるという分析だ。同日、ロシアのベロウソフ国防相は北朝鮮を訪問し「軍事協力の活発な拡張」を強調した。北朝鮮軍のロシア派兵などで「ならず者同盟」となった朝ロが軍事的密着を継続するという意志を表したのだ。 韓国軍の合同参謀本部は「今日午前9時35分から午後1時53分まで中国軍用機5機とロシア軍用機6機が東海(トンヘ、日本名・日本海)および南海のKADIZに次々と進入して離脱した」とし「領空侵犯はなかった」と明らかにした。中国とロシアはこれを連合訓練と主張した。ロシア国防省は「ロ中が29日、年間協力計画に基づき東海(ロシアは日本海と表現)空域で第9次連合空中戦略巡察を組織、および実施した」と伝えた。中国国防省も公式SNSで同じ内容を発表した。 ◆韓国、ウクライナへの武器支援に慎重な立場 中ロ軍用機のKADIZ進入は昨年12月以来およそ1年ぶりで、当時、中国軍用機2機とロシア軍用機4機が東海KADIZに進入して離脱した。今回は11機に増え、東海と南海の双方で進入した。軍用機で他国の防空識別圏に進入する際は該当国にあらかじめ飛行計画を提出し、進入の位置などを知らせるのが慣行だ。しかし中ロは今回、韓国にいかなる通知もしなかったという。 韓国国防部は中ロ軍用機のKADIZ進入に関し「この日午後、国防部のウ・ギョンソク地域安保協力タスクフォース(TF)長が王京国駐韓中国国防武官係とマルチェンコ露国防武官に有線で厳重に抗議した」と明らかにした。続いて「中国とロシアの軍用機が事前通報なくKADIZに進入して長時間飛行したことについて両国に遺憾を表明し、中ロ側が再発防止のために努力することを求めた」と説明した。 ウクライナ戦争局面で朝ロの軍事的協力が強まり韓半島(朝鮮半島)の緊張が高まる中、4時間18分にわたるKADIZ進入は中ロが主張した定例訓練とは見なしがたいという指摘だ。韓米などは中国が朝ロ間の密着に一線を画して距離を置くよう外交的努力を傾けているが、中国とロシアが共に韓半島周辺空域で力を誇示した形であるからだ。 特にこの日は27日に訪韓したウクライナ大統領特使団が尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領表敬訪問などの日程を終えて出国した直後だ。今回のKADIZ進入は、韓国の対ウクライナ武器支援に極度の反応を見せるロシアが韓国に圧力を加えるものではないかという解釈が出る理由だ。 韓国政府は武器支援に慎重な立場を見せている。特使団はK-9自走砲と天弓2などを支援あるいは販売方式で韓国が供与することを希望したが、これに対し韓国政府は明確な返答をしていない状態だ。28日の国会国防委員会に出席した金竜顕(キム・ヨンヒョン)国防部長官は「細部的な事項は答弁が制限される」としながらも「(天弓を購入するという)提案は受けていない」とだけ話した。特使団が尹大統領を表敬訪問した直後、大統領室は「ロ朝軍事協力による安保脅威に対処するために韓国とウクライナが『実効的な対応案』を講じていくことを望む」という尹大統領の発言だけを伝えた。