セガサミー会長「こんな最悪のケース見たくない」コロナ禍でゲーセン全閉鎖の試練…でも「任せた」 若手社長がピンチで構造改革を決断
◆「よくここまで腹をくくったな」
息子が行った大胆な構造改革を、先代の治氏はどう思ったのか。 治氏は「そこまでの案を出してくるのは予想してなかった」と話す。 コロナが落ち着いたら利益はある程度出せる。 だから、そこまでやらなくても…と助言したという。 しかし、息子は「構造改革を行うのであれば一括してやる必要があります」と主張した。 「ある意味でよくここまで腹くくってやれたなっていう思いはあります」と振り返った。
◆パチンコ・パチスロの負の側面を超えて
----事業承継について考えを聞かせてください。 2代目3代目のほうが、創業者の思いを言語化するのが得意じゃないかと思っています。 よく事業承継のケーススタディと言いますが、会社の中で実際に何かが起きたとき、先代がどういう決断をしたか、2代目は客観視できる。 だから、創業者の理念を、私が社長になるときに明確にしていった面はあります。 ----これからセガサミーをどういう会社にしていきたいかというビジョンを教えてください。 社長になったとき、最初の株主総会で言ったメッセージは、「社員が自慢できる会社にしたい」でした。 どうしてもうちの事業は、ゲーム障害やパチンコ・パチスロにおけるのめり込みなど、負の側面もあります。 でも我々は、それを上回る正の価値(≒感動体験)を提供できれば、世の中にあってほしいっていう会社になれるよねと。 やはり、世界中に我々が考える感動体験を提供できる会社にしていきたいなと思っています。
◆成功は部下に与えろ
こうした里見氏の姿勢を、先代社長はどう見ているのか。最後に先代の治氏に聞いてみた。 「もちろん任せた以上は任せる。ただ、知らん顔はしていません。当然ウォッチして、本当に踏み外すようなことがあれば、アドバイスします。 また、私はいつも従業員に対し、『早く良い失敗をしろ。そして失敗したときは上司がそれをすべてカバーしろ。成功したときは部下に全部与えろ』と。 そうしたら非常に強い組織になる。 やっぱりそういうところを目指してほしいですね」
■プロフィール
1979年1月11日生まれ。明治学院大学国際学部卒業。大學卒業後、国際証券へ入社。2004年にサミーに入社。2005年からセガに出向し、米国拠点でデジタル配信ビジネスを立ち上げる。2012年米UCバークレー大学経営大学院(MBA)を卒業後帰国し、スマートフォン用ゲーム開発の社内ベンチャーを立ち上げ、CEOに就任。2017年にセガサミーホールディングスの社長となり、社内の改革を推し進める。現在、セガサミーホールディングス代表取締役社長グループCEO、セガ代表取締役会長CEO、サミー代表取締役会長CEOなどを務める。